2021 Fiscal Year Annual Research Report
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21H02369
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
杉浦 喜久弥 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (30171143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳩谷 晋吾 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (40453138)
赤澤 隆 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん創薬部主任研究員 (80359299)
弓場 英司 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80582296)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腫瘍微小環境 / 活性化線維芽細胞 / 腫瘍血管内皮細胞 / 遺伝子治療 / 免疫治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) がん関連線維芽細胞構成の改変による腫瘍成長の抑制に関する研究では、FGF2遺伝子のクローニングを行った。 すなわち、既報(NCBI Reference Sequence: NM_008006.2)の配列を基にプライマーを設計し、PCRによってFGF2 cDNAを増幅してクローニングし、哺乳類細胞用発現プラスミドに挿入した。作製したプラスミドをCHO細胞に導入し、FGF2の発現を免疫組織化学染色によって確認した。
2)腫瘍血管内皮細胞(TEC)の除去による腫瘍成長の抑制に関する研究では、イヌ腫瘍からTECを同定分離し、拡大培養の検討を行った。様々なイヌ腫瘍のパラフィン包埋切片を内皮細胞マーカーであるCD31とヒトでTECのマーカーとされるTEM1、TEM8の発現を調べたところ、腫瘍中の内皮細胞はCD31とTEM8が共発現していた。それに対し正常血管はCD31のみを発現していた。腫瘍罹患犬から採取した腫瘍組織をコラゲナーゼ処理によって単細胞とした後、磁気分離システムによって血管内皮成長因子受容体(VGEFR)陽性細胞を分離し、TEM8、血管内皮マーカーであるVE-Cadherin、抗原提示分子であるMHC class Iの発現をフローサイトメトリーで解析したところ、全てを発現している細胞集団を認め、TECとして分離した。分離細胞は細胞質の狭い敷石状の角ばった細胞とマクロファージ様の大型細胞で構成されていた。内皮細胞用培地を用いた培養において、様々な腫瘍組織から分離した全てのTECが生着を示すものではなかったが、血管肉腫から分離したものは、生着して増殖性を示し、内皮細胞の性質であるTube形成能を有していた。さらに、継代後も同じ形態を示し、TEM8、VGEFR、MHC class Iの発現を維持していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)がん関連線維芽細胞構成の改変による腫瘍成長の抑制に関する研究では、マウスFGF2遺伝子のクローニングが完了した。 2)TECの除去による腫瘍成長の抑制に関する研究では、当初担癌マウスからのTECの分離と拡大培養法の検討を予定していたが、獣医療における応用を念頭に、初めにイヌTECの分離方法の検討を行った。本研究によりイヌTECの分離方法を確立でき、また、培養における問題点を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)クローニングしたFGF2遺伝子のマウス生体内腫瘍へ導入と腫瘍細胞からのFGF2の発現を検討する。すなわち、BALB/cマウスの肺に腫瘍を形成するCT26WT大腸がん株を用いて担癌マウスを作製する。人工ベクターであるpH感受性リボソームでマウスFGF2発現プラスミドを内包して静脈注射によりを担癌マウスに投与した後、2週間後に肺を採取し、腫瘍組織および正常組織におけるFGF2の発現効率を免疫組織化学染色によって調べる。また、腫瘍内の間質細胞における線維芽細胞の種類とその割合を免疫組織化学染色によって調べる。
2)イヌ腫瘍組織のバイオプシーや手術材料から分離したTECは全細胞の0.5%にも満たず、また腫瘍によって数の変動が大きかった。今後免疫治療への応用に向けて、より多くのTEC抗原を得るため、1)で記述したした担癌マウスを用いて分離したTECを培養において増殖させることを試みる。すなわち、マウス肉腫細胞から単離した再構成基底膜であるmatorigelや内皮造血系の分化に関与する接着分子であるvirtonectinなどの足場材の検討や三次元培養法などを試み、高いTECの増殖を引き出す培養法を確立する。その後、その方法がイヌTECの培養おいても適応できるかを検討する。
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Research Products
(10 results)