2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating the universality and specificity of reproductive mechanisms between species using genetically modified animals
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21H02397
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
藤原 祥高 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (70578848)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 雄性不妊 / 進化 / 遺伝子保存 / 機能補完 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、研究代表者が発見したハエや魚類からヒトまで生物種間で広く保存される遺伝子の解析を通して、生殖メカニズムにおける遺伝子機能の普遍性と特異性を明らかにする目的で研究を進めている。
今年度は、ハエや線虫からヒトまで広く保存されている遺伝子Dcst1/2とPdcl2とLcnsの解析を中心に行った。KOマウス解析の結果、精子膜タンパク質であるDCST1/2は卵子膜との融合に必須で、PDCL2は精子細胞のゴルジ体に局在し精子の先体形成に機能し、精巣上体内腔へ分泌されるLCNファミリータンパク質は精子受精能力の制御に関与していることを当初の研究計画通りに論文発表することができた。(Noda et al. Commun Biol. 2022; Fujihara et al. Andrology. 2022; Sakurai et al. Andrology. 2022)。興味深いことに、受精膜融合に機能するDCST1/2は研究代表者らが同定した必須因子(FIMP, SOF1, SPACA6, TMEM95)と同様に、ぞれぞれのKOマウス精子から共通してSPACA6が消失していることが分かった。つまり、各因子がSPACA6を介したタンパク質複合体として膜融合に機能することが示唆された。LCNsについては、KOマウス精子から精子膜タンパク質CMTM2A/BとADAM3の消失が原因で雄性不妊であることを見つけた。つまり、精子が精巣上体移行中に精子上のADAM3が精巣型から精子型へと変化する際にLCNsが特異的に切断することが精子受精能力の獲得に必要であることが示唆された。今後は、開発したKOマウスを活用したヒト等の異種遺伝子をマウスへ導入して、生殖メカニズムにおける遺伝子機能の普遍性と特異性を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ハエや線虫から哺乳類まで広く保存される遺伝子DCST1/2, PDCL2, LCNsの哺乳類での機能解析について報告することができた(Commun Biol. 2022; Andrology. 2022#1, #2)。その他の研究計画も当初の予定通り順調に進んでいることから、概ね順調と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度と同様に、今年度報告した3因子(DCST1/2, PDCL2, LCNs)の生物種間での機能補完を検証するために、KOマウスに異種遺伝子を発現させたトランスジェニックマウスの作出を計画している。研究開始当初から局在観察やタンパク質間相互作用を検証する目的で抗体を作製しているが、必ずしも良い反応性を示すクローンを得られていないので、並行してタグや蛍光タンパク質を発現するノックインマウスの開発も進めている。すでにPDCL2ノックインマウスの作出に成功したので、次年度も引き続き効率良く実験を遂行していきたい。
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Research Products
(12 results)