2022 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular basis for biosynthetic and degradation systems for tRNA sulfur-modified bases
Project/Area Number |
21H02436
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鴫 直樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 副ラボ長 (20392623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀谷 正樹 佐賀大学, 農学部, 准教授 (80532134)
竹内 恒 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20581284)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | tRNA / 硫黄修飾塩基 / 硫黄代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
生存に不可欠な生体分子の硫黄修飾、RNAの硫黄修飾塩基などについて、その生合成と分解の分子基盤を解明する。硫黄運搬タンパク質とRNA硫黄転移酵素が適切な順序で動的に働くことで初めて実現される「硫黄転移反応」について、反応速度解析と構造分光学解析からそのメカニズムを解明する。以上により硫黄修飾の代謝を支える共通基盤原理とその生物学的意義を理解することを目的として研究を進めた。 昨年度までに細菌由来硫黄運搬タンパク質について、相補系を利用した細胞内での機能解析系を構築していた。立体構造解析から予想される硫黄運搬タンパク質の構造上の特徴 (東大との共同研究により同定) が、実際に細胞内での硫黄転移過程に寄与しているか検討した。数種類の変異体について検討したところ、細胞内での過剰な発現や量のばらつきにより、構築した機能解析系の信頼性が低いことが判明した。そのため、細胞内の存在量に近くなるように相補系を再度設計しなおし再構築した。これを用いて変異体発現株の性状(生育速度、硫黄修飾塩基含量など)を再現性よく解析することに成功した (東大との共同研究)。この解析から、この細菌由来硫黄運搬タンパク質は、不安定な転移中間体を立体構造的に安定化する新奇な仕組みが備わっていると推察できた。今後は多様な硫黄運搬タンパク質群においても、この仕組みが共通的に重要な仕組みであるかどうか検証する。 また、硫黄修飾塩基の高感度選択的検出法の構築のため、愛媛大に好熱菌の硫黄修飾酵素遺伝子破壊株を提供し、共著論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
構築済みの細胞内硫黄転移機構を評価したところ再現性が悪いことが判明したためである。研究遂行上、適切な評価系を用い硫黄関連の生命現象を理解することが不可欠なため、新規な評価系の構築を追加して実施し、新規硫黄転移機構評価系の多面的評価をする必要が生じた。またコロナ感染症の世界的な蔓延により出勤が制限されたことや消耗品等のサプライチェーンが甚大な影響をうけ必要物品の調達が大幅に遅延したため、研究の進捗が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には前年度の研究実施計画を発展させた内容で研究を遂行する。細胞内硫黄転移評価系については複数の硫黄運搬タンパク質や硫黄転移酵素に適用し、解析する。酸素感受性の差異の生物学的意義についての考察を進め、分子進化について考察する。また、硫黄修飾塩基の分解やリサイクル機構の解析にも着手し、生体内で硫黄化合物の恒常性がどう保たれるかについても解析したい。
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