2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H02439
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南後 恵理子 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90376947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 俊彰 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 技師 (40462725)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | X線自由電子レーザー / ロドプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物由来のレチナールタンパク質(ロドプシン)は、光を受容して機能を発揮する膜タンパク質であり、最近ではその光応答性を利用して細胞の光制御を可能とするオプトジェネティクスに利用されるなど応用面でも注目されている。ロドプシンの最も代表的な機能は、一方向にイオンを能動輸送する機能であり、プロトンポンプのバクテリオロドプシン、クロライドイオンを輸送するハロロドプシン、ナトリウムポンプのKR2などが知られている。これらのイオンポンプ機能を持つロドプシンを比較すると、その基本構造は類似しており、構造の類似性にも関わらず電荷の異なるイオンを同一方向に輸送する仕組みに興味が持たれている。今までに、様々なイオンポンプロドプシンが発見されてきた。それらのロドプシンにおいて、部位特異的変異導入及びその活性測定やクライオトラップ法による中間体X線結晶構造解析などが行われてきたが、イオンの選択性やイオン輸送機構の全容は明らかではない。本課題では、光反応の過程をリアルタイム且つ原子レベルで可視化することを目指して、X線自由電子レーザー(XFEL)を用いた時分割実験を実施する。高い空間分解能の動的構造情報を得るには、XFELによるシリアルフェムト秒結晶構造解析が用いられており、微結晶を調製する必要がある。そこで、まずは微生物由来のイオンポンプロドプシンの発現検討を行った。結晶化に必要な量を取得するのに種々の検討が必要であったが、最終的には4つの異なる微生物由来のイオンポンプロドプシンにて発現・単離精製が可能であり、十分量得られることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
X線自由電子レーザー(XFEL)を用いたタンパク質結晶構造解析法であるシリアルフェムト秒結晶構造解析(SFX)では、1 mLあたり10の8乗個程度の密度で微結晶を調製する必要がある。ロドプシン類はモノオレインなどの脂質を用いる結晶化法であるLipidic cubic phaseで良好な結晶が得られやすいことが知られており、過去の報告でもバクテリオロドプシンなどは本法で結晶化され、高粘度試料インジェクターにより低流速でXFEL照射域まで輸送され、光励起後に回折像を取得して時分割測定が行われてきた。こうした実験では、十分な試料量を得て再現性良く微結晶化を行う必要があるため、試料の発現、精製などの調製は重要なステップである。当該年度において我々は4種のイオンポンプロドプシンの取得に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、結晶化並びに放射光施設またはXFEL施設にて測定を行う予定である。時分割実験でデータが得られ次第、データ処理並びに動的構造解析を行う。また、その動的構造情報を元に変異体の作成やキメラタンパク質の設計などを行い、イオン輸送機構の詳細について明らかにしていく。
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Research Products
(8 results)