2021 Fiscal Year Annual Research Report
Direct observation of biomolecular dynamics by a pulsed electron microscope
Project/Area Number |
21H02440
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
成田 哲博 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (30360613)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 電子顕微鏡 / 溶液中動態観察 / 微小管 / アクチン / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、金蒸着によるスペーサーの導入、溶液の急激な濃度変化を抑える液だめの導入など、溶液チャンバーの改良にとりくんだ。その結果溶液チャンバー内に封入する対象が拡大、より実際の観察に即した実験を行うことができた。まず無染色フェリチンのブラウン運動の観察に成功。タンパク質を初めてダイレクトに観察できるようになった。また、アクチン線維をチャンバー内で重合させることにも成功。線維重合時に、一緒に混ぜた金コロイドの運動が大きく変化することが観察できた。脂質懸濁液を観察し、脂質のドロプレットが動く様子を電子顕微鏡分解能で観察することにも成功している。これらの観察はすべて通常の熱陰極電子顕微鏡で行ったが、これでほぼ溶液チャンバーの準備は整ったといってよさそうである。また、中古のクライオ観察用ホルダとドライアイスを組み合わせて、観察試料温度を4℃から30℃の間で安定してコントロールする手法も見出した。さらなる改良のために、現在の窒化シリコン膜に変えて、より試料の吸着が少ないことが期待される窒化炭素膜の試用も行い、コントラスト、強靭性では劣るが確かに吸着が少なくなることを確認。今後は窒化炭素膜も並行して状況に応じて使い分けることにする。 一方、本年度中に立ち上がる予定であったパルス電子顕微鏡は残念ながら、コロナ事態とウクライナ紛争による物流の混乱で必要な部品がなかなか手にはいらず、まだ立ち上がっていない。来年度前半に立ち上げ、セッティングを行い、開発した溶液チャンバーでの観察にとりかかる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共同研究している第二世代パルス電子顕微鏡の開発に必要な部品が、コロナ事態とウクライナ紛争による世界的な物流の乱れで遅れている。一方で溶液チャンバーの開発は順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
第二世代パルス電子顕微鏡が立ち上がり次第、溶液チャンバーを使った金コロイドのブラウン運動の観察によってパルス電子顕微鏡による溶液観察に適した設定、インターフェースの構築を行う。来年度後半から実際のタンパク質、脂質の動態解析を開始、生物学的に意味のあるデータを収集、論文化する予定である。
|
Research Products
(3 results)