2021 Fiscal Year Annual Research Report
Functional and structural characterization of the human Y chromosome
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21H02464
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
深見 真紀 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 部長 (40265872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小堀 善友 獨協医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50566560)
淺原 弘嗣 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70294460)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲノム / 性染色体 / 精子形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
① Y染色体ゲノム変化の解明:ヒトY染色体は、しばしば構造的および数的変化を起こすことが知られている。既知のゲノム変化には、長腕Azospermia factor (AZF)領域のコピー数バリアント(CNV)および体細胞性Y染色体モザイク欠失(mLOY)が含まれる。われわれは、日本人高齢男性を対象に、Multiplex-ligation dependent probe amplification (MLPA)を用いて Y染色体のコピー数変化について検討した。その結果、48%にAZF領域のCNVが、23%にmLOYが同定された。10%がCNVとmLOYの両方を有していた。MLPAによって推定されたMLOYレベルは、droplet digital PCRによって決定されたレベルと相関していた。AZFに関連するCNVとmLOYの頻度やレベルとの間に関連性は認められなかった。これらの結果は、AZF領域 CNVとmLOYの頻度が高く、これらの変異の検出にMLPAが有用であることを示すものである。さらに重要な点として、AZF領域CNVは加齢性mLOYのリスクを増加させないことが明確となった。 ② Y染色体遺伝子の機能の解明:男女の身長性差に関与する腺染色体上の遺伝子は現在まで探知されてていない。本年度は、このY染色体上の成長に関連しうる遺伝子を見出し、その機能解析を開始した。さらにこの遺伝子が、成長性差を招くメカニズムについて研究を推進している。 ③ 精子形成障害・性分化疾患患者の検体集積:精子形成障害患者と性分化疾患患者の検体と臨床情報の集積を進めた。今後これらの検体をゲノム解析の対象とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って研究を推進している。本年度の解析で、AZF領域のコピー数多型は加齢性体細胞Y染色体喪失のリスクとならないことが明確となった。この成果は論文として発表した。次年度以降は他の因子について検討を進める。また、稀なY染色体構造変化の成因について検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って研究を進める。 研究項目1. 体細胞性Y染色体モザイク喪失のメカニズム解明:mLOYを有する高齢男性のゲノムデータと臨床情報を検討し、mLOYのリスクに関与する遺伝的因子と環境因子を明らかにする。 研究項目2. Y染色体遺伝子の機能解析: 初年度に見いだされた男性特異的成長遺伝子候補となるY染色体遺伝子について、さらなる解析を進める。具体的には、バイオインフォマティクス解析とin vitro実験によって、当該遺伝子の細胞内機能を明らかとする。また、低身長男性患者を対象とする変異スクリーニングを行い、疾患に関与するバリアントを探索する。 研究項目3. 精子形成障害と性分化疾患患者のゲノム解析: これまでに集積した精子形成障害と性分化疾患患者検体のゲノム解析を推進する。アレイCGHやMLPA法によるコピー数解析とシークエンス解析を行う。これにより疾患に関与する新規Y染色体バリアントの発見を目指す。
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