2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of how Stx17 changes its functions in response to nutrition status
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21H02480
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
多賀谷 光男 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (30179569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 弘樹 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (10294448)
若菜 裕一 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (90635187)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | MAM / ミトコンドリア / オートファジー / 脂肪滴 / カルジオリピン / CPT1a |
Outline of Annual Research Achievements |
Syntaxin 17(Stx17)は哺乳動物細胞のミトコンドリアと小胞体の境界領域に存在し、SNAREとして小胞体膜のダイナミズムに関与する以外に、通常時にはDrp1、飢餓時にはAtg14L、過剰栄養時(オレイン酸存在下)にはACSL3(acyl-CoA合成酵素)と相互作用して、ミトコンドリアの分裂、オートファゴソーム形成、脂肪滴形成に関与している。本研究の目的は、栄養状態に応じて結合パートナーを変えることで多様な機能を示すStx17の機能調節機構の解明であり、本年度は以下のことを明らかにした。 (1)Stx17のリン酸化に関与する酵素:Stx17のSer134は通常リン酸化されており、飢餓に伴って脱リン酸化される。Stx17結合タンパク質として同定されたNDR1(別名STK38)がStx17をリン酸化するかどうかを、細胞発現系および精製タンパク質を用いて検討したが、NDR1によるStx17の顕著なリン酸化は認められなかった。 (2)リン脂質とStx17の相互作用:計画当初は、Stx17はホスファチジルセリンと相互作用するのではないかと考えていたが、PIPストリップを用いた実験から、ミトコンドリアに局在するカルジオリピンに結合する可能性が示唆された。そこでリポソームを使って調べたところ、カルジオリピンおよびホスファチジン酸と結合することが判明した。これらの脂質との結合によってStx17の局在が調節されている可能性が考えられる。 (3)CPT1aとStx17結合の意義:脂肪酸のミトコンドリアへの取り込みに関与しているCPT1aがStx17の足場タンパク質として働き、CPT1aの発現抑制でオートファジーが進行することを見い出した。 (4)ACSL3-Stx17を介したオートファジーの調節:ACSL3が栄養過多時(オレイン酸存在下)に加えて、飢餓時の脂肪滴形成にも関与していることを明らかにした。この酵素および、既にオートファジーに関与することが報告されているACSL4のオートファジー進行における役割の違いについて解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一部の計画は順調に進んでいるが、人員の関係からStx17のインフラマソーム形成における役割の解明が進められなくなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下の計画に絞って研究分担者および関連院生と共に研究を進め、今年度中の計画完了を目指す。 1)Stx17のリン酸化-脱リン酸化酵素の同定、2)カルジオリピンとStx17の相互作用、3)CPT1aとStx17結合の意義の解明、4)ACSL3-Stx17を介したオートファジーの調節機構の解明。
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