2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H02486
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 ゆたか 京都大学, 理学研究科, 准教授 (40314174)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 遺伝子調節ネットワーク / ホヤ / Zic / Foxd |
Outline of Annual Research Achievements |
多細胞生物の発生においてつくりだされる多様な遺伝子発現パターンは遺伝子調節ネットワークの働きによるものである。ネットワーク構造の理解は進んだが、その動態の理解は進んでいない。私のグループではゲノムと胚の構造が単純なホヤを用いて遺伝子調節ネットワークの動態を細胞の単位で解析し、32細胞期までの胚全体のネットワーク動態を計算機上で再現することに成功している。その再現においては経験則的な仮定をおいているので、そうした仮定の実証を進める。具体的には次の三つの課題に取り組む。(1)明確な結合配列がその標的の調節領域にない転写因子について、一部は複数のモチーフを認識する可能性の検証。(2)受精後一定時間たってから胚性ゲノムからの転写が始まるというZygotic genome activationの分子機構の理解。(3)遺伝子調節ネットワーク動態が不連続に進行する背景にある分子機構。 (1)について、Zic-r.a転写因子が二つのモチーフを認識し、それぞれが別の組織特異的発現を担っていることを明らかにし、論文として公表した。また、Foxd転写因子がわずかに異なる配列を認識することで、標的を活性化したり抑制したりという機能の切り替えをおこなっていることを明らかにした。(2)について、いくつかの母性転写因子についてノックダウン実験をおこない、初期の遺伝子発現に対してグローバルな影響が認められることを確認した。(3)について、Foxdタンパク質に対する抗体を作成し、Foxdタンパク質の胚内での動態を詳しく観察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定している三つの問題を解決するための実験が順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
順調に研究が進展しており、このまま予定通りに進めていくつもりである。
|