2021 Fiscal Year Annual Research Report
Force-dependent control of cell-to-cell adhesion through the regulation of ZO-1 phase separation
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21H02493
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Research Institution | Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
上野 直人 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 新分野創成センター, 特任教授 (40221105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 典行 基礎生物学研究所, 初期発生研究部門, 准教授 (30300940)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ZO-1 / 原腸形成 / 力学刺激 / 液‐液相分離 / 細胞間接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞間接着構造の一種であるタイトジャンクションは、ZO-1を主要な足場タンパク質として多種のタンパク質が組織化しており、隣接細胞同士を密着させることで上皮組織のバリア機能等を担っている。近年、このタイトジャンクションの形成が、ZO-1を中心とした液-液相分離によって駆動されることが明らかにされた。我々は、ZO-1がタイトジャンクションだけではなく細胞質においても液―液相分離によって凝集体を形成しており、この細胞質凝集体が力学的刺激に応答して生成・消失することなどを明らかにした研究実績をもとに、本研究では、このZO-1のダイナミックな局在変化がMDCK細胞の創傷治癒過程における集団遊走において果たす役割について調べた。まず、細胞集団遊走時のZO-1の局在変化を観察したところ、タイトジャンクション・細胞質凝集体の他に、細胞の基底面においてもZO-1が一過的に集積し構造体を形成していることが観察された。この基底面のZO-1構造体は、遊走する細胞の前端部分において観察され、細胞の集団遊走に伴ってその形成は集団後方へと伝播した。また、免疫蛍光観察時にアクチンフィラメントとの共局在が観察されたことや、アクチン結合ドメインを欠失したZO-1ではその形成が観察されなかったことなどから、基底面のZO-1構造体の形成はアクチン依存的であることが示唆され、細胞の力学的性質や遊走能の制御に関与している可能性が考えられた。本研究では、これまでタイトジャンクションで静的な構造体形成を担っていると考えられてきたZO-1が、タイトジャンクション・細胞質凝集体・基底面構造体という三つの構造体にまたがってその局在をダイナミックに変化させ、細胞の集団的遊走において細胞-細胞間、細胞-基質間の力学的相互作用を協調的に制御するしくみがあることを実証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MDCK細胞ににおいて、タイトジャンクション機能を担うと考えられるZO-1およびZO-2という二つの遺伝子を破壊し、接着機能を著しく減衰させた変異株に対し、GFP-ZO-1遺伝子を補うことにより、細胞同士のタイトジャンクションを介した正常な接着機能を回復させ、かつZO-1の動的変化をライブイメージングで観察できる細胞株の作成に成功したことによって、本研究を大きく推進することができた。また創傷治癒における集団的細胞遊走実験の結果から、細胞集団の先導端の細胞質ではZO-1凝集体が多数観察され従来の観察結果が再確認された一方、より基質に近い基底層では特徴的な構造体を形成していることが新たに見出された。同構造体は、がんの浸潤にも関わると考えられている浸潤突起(invadopodium)である可能性もあり、現在その確認を進めている。また、この基底面における構造体の形成は波状に遊走方向の前方から後方に向かって伝播していることや、そのオシレーションのパターンはERK1およびERK2の活性化パターンのオシレーションと類似していることから、ZO-1局在の制御にERKが関わっていることが示唆された。これらの発見は、ERKによるZO-1細胞内ダイナミクスの制御という新しいメカニズム可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の2項目について研究を進める。 1. ERKによるZO-1液-液相分離および細胞内局在の制御 ZO-1には構造的な4つの天然変性領域(intrinsic disordered domain, IDR)が存在し、そのうちIDR4が液-液相分離に必要とされるという結果がすでに得られている。IDR4には多くのERKによるリン酸化の標的アミノ酸が存在することから、ERKがZO-1をリン酸化することが、ZO-1の液-液相分離を解消し、細胞内局在を変化させるというモデルを想定している。IDR4のERK標的アミノ酸を非リン酸化型へと変異を導入したZO-1がまた基底面構造体に局在するのか、また細胞遊走機能を有するのか否かを検証する。 2. 基底面構造体の実体および機能の確認 我々がZO-1の局在部位として同定した基底面構造体が浸潤突起であれば、ZO-1が同構造の機構に寄与しており、実際に突起による基質に対する摩擦力や推進力に貢献している可能性がある。光学顕微鏡を用いて浸潤突起の分子マーカーArp2/3やメタロプロテアーゼ(MMPs)との免疫染色による共局在の確認を行うほか、免疫電顕を用いて突起の微細構造における局在を明らかにする。また、ZO-1の機能欠損変異体における浸潤突起形成および細胞牽引力を牽引力顕微鏡(traction force microscope, TFM)を用いて定量比較する。
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