2022 Fiscal Year Annual Research Report
着床時に胚軸を子宮軸に一致させる子宮内膜上皮の形態変化
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21H02494
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
藤森 俊彦 基礎生物学研究所, 初期発生研究部門, 教授 (80301274)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マウス / 着床 / 上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究によって、受精後4.0日以降に胚からの距離に依存した領域による子宮内膜上皮の形態の差が見られることが明らかになった。ConAで標識したアガロースビーズを偽妊娠マウスに移植すると胚を移植した際と同様に脱落膜反応を誘導できるが、ConAビーズの化学的性質か物理的性質の何れが重要なのか判定できていない。そこで、ConAで標識していない同じビーズを移植した所、標識していないビーズでは十分な脱落膜反応、着床室の形成は誘導されなかった。以上の結果から、単に物理的な刺激だけでは不十分であり、化学シグナルが必要であることが示唆された。今後硬さの異なる媒体を用いて化学シグナルが局所的に活性化されれば十分であるかを検討する必要がある。 子宮上皮細胞の形態変化が、上皮細胞自身の内在的な力学的特徴の変化によって引き起こされる可能性と、間質細胞や平滑筋細胞など上皮細胞を取り巻く環境の変化によって誘導される可能性のそれぞれを検証した。上皮細胞の細胞辺での力発生に関わると思われる非筋ミオシンの機能については、阻害剤を用いた実験により影響を調べることを開始したが、阻害剤なしでの溶媒のみでも影響が見られたため、阻害剤の処理方法を再検討することにした。平滑筋の動きを抑制する薬剤により処理した場合には、胚のスペーシングには影響が見られたが、着床室の形成自身には影響は見られなかった。着床室形成時に間質細胞の急激な増殖がみられることが判明した。そこで、間質細胞増殖と着床室の形成の関連について解析を開始した。 上皮層の変形にともなう上皮細胞の変化に伴う細胞外の分子の発現の変化に関しては、細胞外分子に着目するために細胞外タンパク質を特異的に回収し、質量分析による解析を進めることにした。予備的な実験を終了し、細胞外分子を特異的に回収できることまで明らかになった。今後着床時における経時解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定された研究内容についてほぼ予定通り進捗している為。
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Strategy for Future Research Activity |
上皮細胞形態が変化する際にシグナルを受容あるいは発信する分子機構の解明を目指す。種々の分子群が着床時にどのように発現及び局在に変化を見せるかを詳細に解析する。上皮細胞表面における膜分子、細胞外基質等の発現、局在がどのように変化するかを明らかにする。また、胚に変わってConAビーズを用いて着床時におきる上皮細胞形態の変化を誘導できることから、このConAが相互作用する分子群を妊娠初期の子宮から同定し、着床時の上皮形態の変化を誘導するシグナル系の解明を目指す。 上皮細胞は着床成立時に胚の周りで特異的な形態変化を示した。この変化は上皮自身の内在的な張力等の発生、子宮間質の増殖などによる変化によって引き起こされる可能性が考えられる。引き続きこれらの関与の可能性を検討する。
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Research Products
(3 results)