2021 Fiscal Year Annual Research Report
新陳代謝して細胞が入れ替わり続ける組織の恒常性を保つための新規シグナル経路の開拓
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21H02503
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
打田 直行 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 教授 (40467692)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 根冠 / 分泌ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
内側の幹細胞が外側に細胞を供給しつつも、最外層が順に剥離する新陳代謝により恒常性を保つ組織では、最外層剥離と幹細胞からの細胞供給が協調する必要があり、最外層と幹細胞の間での情報伝達が想定されるが、植物における分子実体はほぼ未解明である。研究代表者は、新陳代謝を行う根冠組織において、最外層で発現し内部の幹細胞を制御する分泌因子RCPを発見した。本研究では、根冠の新陳代謝サイクルの中でのRCP発現と幹細胞活動の連動の観察、RCP受容体の同定、RCP経路の具体的役割の解析を目指し、本年度は以下の進展を得た。根冠では、最外層が剥離する度に1つ内側の細胞層が新たな最外層となり、最外層は入れ替わり続けるので、根冠最外層で発現するRCPに関しても、その発現の動的変動サイクルの存在が想定できる。今年度、このRCPの発現を詳細に観察するための蛍光レポーター植物を作成し、使用できることを確認した。また、根冠に発現すると推定されるRCP受容体の候補群を公共の遺伝子発現データベースを用いて選抜し、それらの変異体、発現解析レポーター植物の整備を進めた。根冠パターンの構築や維持に関わる複数のレギュレーターの発現を蛍光でモニターできる系を野生型背景とrcp変異体背景で作成し、根冠に特徴的な層構造が乱れることを既に見出してきたrcp変異体においては、着目した主要レギュレーターのうちのいくつかの発現パターンが乱れていることを見出した。また、RCPの発現は周囲の環境により調節されることも見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に想定した計画通りに、蛍光レポーター植物、RCP受容体を探索するための受容体候補群の変異体や発現解析レポーター植物の整備も順調に進み、さらに、rcp変異体で発現パターンが乱れるレギュレーター因子も判明したことから、研究は順調に進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した蛍光レポーター植物を用いた観察を行う。RCP受容体候補群に関して整備した変異体や発現解析レポーター植物の解析に着手する。rcp変異体で発現パターンが乱れていることが判明したレギュレーター因子に関しては、その上流制御経路の解析に着手する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Identification of a pluripotency-inducing small compound, PLU, that induces callus formation via Heat Shock Protein 90-mediated activation of auxin signaling.2023
Author(s)
Nakashima Y, Kobayashi Y, Murao M, Kato R, Endo H, Higo A, Iwasaki R, Kojima M, Takebayashi Y, Sato A, Nomoto M, Sakakibara H, Tada Y, Itami K, Kimura S, Hagihara S, Torii KU, Uchida N
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Journal Title
Front. Plant Sci.
Volume: 14
Pages: 1099587
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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