2021 Fiscal Year Annual Research Report
寄生植物の寄生器官誘導を司る新規タンパク質の機能解明
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21H02506
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 聡子 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20450421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白須 賢 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, グループディレクター (20425630)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 寄生植物 / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、寄生植物コシオガマの吸器形成における重要因子LHF1の機能解析をおこない、寄生植物における吸器誘導シグナル伝達系の解明を目指す。これまでの成果により、lhf1変異体では、DMBQシグナルに対し、MAPKのリン酸化やカルシウムの初期応答が起こることが明らかとなった。さらに、シリンガ酸などのフェノール類がコシオガマでCa2+を増大させるかどうかを検証したところ、DMBQと同様に吸器誘導を起こすシリンガ酸ではCa2+の増大が起こらないことが示された。また、LHF1の機能ドメインを推定するために、各ドメインを欠損したコンストラクトを作成し、相補試験をおこなった。その結果、LHF1はC末に保存された重要ドメインを持つことが明らかとなった。また、野生型とlhf1変異体を用いてトランスクリプトーム解析を行い、下流の遺伝子発現応答を同定した。qPCRの結果、DMBQ刺激から15分程度後に発現が上昇する初期応答遺伝子がlhf1変異により発現上昇しなくなることがわかった。LHF1は吸器誘導物質応答のごく初期で働く因子であると考えられた。現在、これらの下流遺伝子の過剰発現やノックダウンにより吸器形成が変化するかを調べた。 さらに、シロイヌナズナのLHF1のオルソログのT-DNA insertion lineを取り寄せ、二重変異体を作成した。遺伝子発現に変化が見られなかったものに関してはCRISPR/CAS9法を用いてゲノム編集によるノックアウト変異体を作成している。これらの変異体の表現系解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下流遺伝子やシロイヌナズナでの変異体解析を進めており、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
LHF1内の重要ドメインを調べるために、今回同定できたドメイン内の保存されたアミノ酸に点変異をいれて、相補試験を行うことにより、重要アミノ酸残基を同定する。さらに、リン酸化解析で検出されたリン酸化ターゲットアミノ酸にも変異を入れ、機能が変化するかを確かめる。シロイヌナズナ変異体について、さらに表現型解析を進めることで、LHF1の独立栄養植物での役割を解明する。また、タグ付きタンパク質をコシオガマで発現させ、相互作用するタンパク質の道程を行う。
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