2022 Fiscal Year Annual Research Report
Dissection of iron deficiency response involving novel short peptide FEP1.
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21H02509
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平山 隆志 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (10228819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬 建鋒 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (80260389)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 短鎖ペプチド / 鉄欠乏応答 / シロイヌナズナ / 遺伝学的解析 / 網羅的転写物解析 / alphascreen / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度行った、鉄欠乏を示すfep1-1変異株と、FEP1誘導発現株を用いたRNAseq解析から、FEP1が維管束系の組織で一部の鉄欠乏応答遺伝子の制御に関わると示唆された。そこで、R4年度は、FEP1と鉄輸送の関係を調査した。維管束で鉄分配に関わり地上部に鉄を蓄積するopt3変異株との遺伝学的解析、各種変異株での根における鉄蓄積状況の調査、FEP1タンパク質の組織局在調査を行った。その結果、fep1は、内皮を介した鉄の輸送が低下していることがわかった。しかし、FEP1遺伝子の発現は、内皮での発現は確認されていないが、そのタンパク質は少なくとも内鞘に存在することが認められ、FEP1が細胞間を移動し機能していると考えられた。以上の結果をまとめて論文発表を行った。FEP1および鉄欠乏応答に関わるBTSや転写因子のタンパク質を精製し、in vitroで相互作用の分析を試みた。報告にあるようなFEP1によるBTSと転写因子の相互作用阻害は確認できなかったので、条件をされに検討する必要がある。 ahg2変異株の鉄欠乏応答性を抑圧する変異株ags2とags3の解析を進めた。昨年度、ags2の原因遺伝子の同定に成功したが、今年度はags3の原因遺伝子を突き止めた。その結果、ags2と同じ変異であることがわかった。AGS2遺伝子は、ミトコンドリアに局在するRNA helicaseをコードしており、ags2変異は保存されているアミノ酸の置換を誘導するものであった。この変異では、いくつかのミトコンドリアmRNAのpoly(A)鎖がついたままであり、何故表現型が抑圧されるのか興味深い。そこで、ミトコンドリアmRNAの構造について情報を得るためRNAseqを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果で論文を発表することができた。また、変異株の原因遺伝子の同定も完了し、次の研究段階に進むことができている。一方で、in vitroでの相互作用実験は、タンパク質の発現効率が悪かったりするなど、条件設定に苦労しており、まだ確固たるデータの取得には至っていない。今後さらに検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroでの相互作用実験の条件設定をさらに進める。効率的なタンパク質発現とその精製のため、haloタグの利用を試みる。haloタグは、タンパク質の精製が容易で効率も良いため、相互作用実験に適した試料が用意できると期待できる。 AGS2の生化学的解析を行う。RNA helicase活性の確認、酵母を用いたタンパク質相互作用実験、ミトコンドリア局在の確認実験などを行う。また、ags2遺伝子破壊変異は致死性を示すが、この変異がahg2の表現型を抑圧するかなどの遺伝学的実験も行う。 ags2のRNAseqデータ解析から、ags2がRNA編集に影響していることが伺われた。そこで、poly(A)状態とRNA編集の関係について、調査する予定である。
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