2021 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞に残る未知の膜交通経路 ~液胞からの逆行輸送機構の解明~
Project/Area Number |
21H02515
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
上田 貴志 基礎生物学研究所, 細胞動態研究部門, 教授 (10311333)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 液胞 / 逆行輸送 / sorting nexin / retromer / バイオイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の液胞膜からタンパク質を回収する仕組みが存在するのか、存在するとすれば、それはどのような分子機構によっているのかを、液胞膜と後期エンドソームの融合を実行するエンドソームタンパク質であるVAMP727をモデルカーゴとして明らかにするべく研究を進めている。イノシトールリン脂質であるPI3PおよびPI4Pの合成を阻害するwortmannin処理によりVAMP727が液胞膜に蓄積することから、まずどちらの脂質の合成阻害がVAMP727の液胞膜への蓄積に寄与するのかを特異的な阻害剤を用いて調べた。その結果、PI3Pの合成阻害がVAMP727の液胞膜蓄積の原因であることを突き止めた。続いて、光変換タンパク質を用いることで、VAMP727が液胞膜からエンドソームへと回収されることを証明した。これらの結果から、植物細胞に液胞膜からの逆行輸送経路が存在することを証明することが出来た。 この過程に関わる因子を探索するため、GFP-VAMP727を発現する形質転換植物から抗GFP抗体を用いた免疫沈降を行い、共免疫沈降産物を質量分析により同定した。その結果、sorting nexinやretromer、クラスリンアダプター分子などが候補因子として同定された。現在、これらの因子の変異がVAMP727の逆行輸送に与える影響を調査するべく、それぞれの遺伝子の変異体を収集し、蛍光タンパク質を連結したVAMP727の導入を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度において、本研究の大目的の一つである液胞膜からの逆行輸送の存在を証明することが出来た。さらに、VAMP727の相互作用因子の中からその液胞膜からの逆行輸送に関わる候補因子を絞り込み、既に変異体を用いた解析を開始していることから、研究が当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、候補因子の変異体を用いた解析を行うとともに、VAMP727と候補因子の結合を生化学的に解析する。さらに、両者の細胞内での振る舞いをバイオイメージングにより詳細に明らかにする。必要に応じて超解像顕微鏡を用いた観察も実施する。成果を国際誌に発表するとともに、プレスリリースなどを通じて広く公開する。
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Research Products
(5 results)