2021 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間結合タイトジャンクションの形態形成メカニズムの解明
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21H02523
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
古瀬 幹夫 生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 教授 (90281089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 太一 熊本大学, 大学院先導機構, 助教 (30758412)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | タイトジャンクション / 上皮細胞 / クローディン / ZO-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
タイトジャンクション(TJ)の位置決めに関して新しい知見を得た。従来、TJが上皮細胞の細胞接着部位の最もアピカルの位置に形成されるためには、裏打ちタンパク質であるZO-1/ZO-2のPDZドメインと、TJの膜タンパク質でTJの構造そのものをつくるクローディンのC末端のPDZドメイン結合モチーフとの直接の相互作用が重要であると考えられてきた。ところが、科研費のサポートにより以前作出したクローディン欠失MDCK細胞に、C末端のPDZドメイン結合モチーフを欠失させたクローディン3(クローディン3deltaYVF)を戻し発現させた細胞をフィルター上に十分な密度で培養したところ、共焦点顕微鏡を用いた免疫染色においてクローディン3deltaYVFは細胞接着部位の最もアピカルの位置に濃縮し、その局在は対照の野生型クローディン3と変わらなかった。これら細胞を凍結割断レプリカ法により電子顕微鏡観察したところ、クローディン3deltaYVF発現細胞において、野生型クローディン3発現細胞と同様、細胞側膜のアピカル領域にTJストランド構造が形成されていた。一方、クローディン3deltaYVF発現細胞と野生型クローディン3発現細胞の違いとして、前者では、アピカル側のTJストランドに一部不連続な部位が見られ、さらに、アピカルのTJストランドとは分離した形の単独のTJストランドがラテラル膜に観察された。以上の結果から、TJが細胞接着部位の最もアピカルの位置に形成されるために、クローディンとZO-1/ZO-2の直接の結合は必須でないことが示された。より詳細な解析を行うためには、N末端にエピトープタグをつけたクローディン3とクローディン3deltaYVFを用いて同様の実験を行い、両者の発現量を揃えて比較する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ZO-1変異体の作成とZO-1/ZO-2欠失細胞への導入、MDCK細胞におけるクローディンをユビキチン化するE3リガーゼのRNAseq結果からの絞り込みなどを終えている。また、研究実績の概要にあるような、予想外の結果も得られた。アンギュリン欠失細胞におけるTJの増強については、可能な実験は終えており、今あるデータで論文を作成しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究を継続する。アンギュリン欠失細胞におけるTJの増強については、R4年度内の論文投稿を予定している。
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Research Products
(5 results)