2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H02524
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
清水 貴美子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, プロジェクト准教授 (50451828)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遠隔記憶 / 空間記憶 / ニューロステロイド / SCOP / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
遠隔記憶の学習時刻による違いが、どの脳部位の時計によって制御されているかを明らかにするため、昨年度に作成した前脳特異的な概日時計破壊マウス (Bmal1 flox/Emx-Cre) をもちいて空間記憶の遠隔記憶能力を測定した。その結果、遠隔記憶の時刻依存的な変化を捉えることができ、少なくとも前脳の概日時計が空間記憶の遠隔記憶の制御に関わっていることが認められた。 さらに脳部位を限定するためにCre 発現アデノ随伴ウイルス (AAV) をBmal1 flox マウスの海馬およびmPFCに投与をおこない、AAV の種類、投与titer, 詳細の投与部位等の検討を行い、各脳部位特異的に概日時計の破壊ができていることを確認できた。これらのマウスを用いて空間記憶の遠隔記憶の測定条件を整えた。 一方、SCOPと2つのニューロステロイドの関係を明らかにするため、7α-OH-Preg と 7α-OH-DHEAを作ることができない Cyp7b1 欠損マウスを用いてSCOP量の変化を検討した。現在までの結果から、顕著な変化は見られず、SCOPをCyp7b1 が制御するという可能性は低いと考えられた。また、本研究課題の目標の一つである、7α-OH-Preg と 7α-OH-DHEA の受容体同定に向けて、7α-OH-Preg と 7α-OH-DHEAが核内受容体である場合を想定し、神経細胞を用いた ATAC-seq(網羅的オープンクロマチン領域解析)の準備を整えた。さらに、核内受容体でない場合も想定し、7α-OH-Preg および 7α-OH-DHEA を樹脂に結合させたステロイドカラムを作成した。今後、種々の条件で脳抽出物の中から結合する分子の単離を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
AAV を用いた脳局所の概日時計欠損マウスの作成から遠隔記憶測定条件設定、Cyp7b1 欠損マウスのSCOP量の変化の確認、ステロイドカラムの作成、ATAC-seq 準備等、予定していた研究内容は全て実施できた。そのうえで、脳部位特異的な概日時計欠損マウスをを用いた遠隔記憶の測定については、動物の繁殖と遠隔記憶の測定を当初の予定以上に進めることができ、一定の結論を得るに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、概日時計が空間記憶における遠隔記憶能力を制御していることは明らかになった。さらに脳部位をより限局したい。そのためには、AAVを用いた脳局所での概日時計欠損マウスによる空間記憶測定を進める必要がある。また、7α-OH-Preg および 7α-OH-DHEA のステロイドカラムを用いて受容体同定を試みるとともに、新しい受容体同定法を探っていく必要もある。
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Research Products
(2 results)