2021 Fiscal Year Annual Research Report
Neural communication responsible for determining the valence of sensory stimuli
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21H02525
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 俊詩 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (60608529)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経活動測定 / 介在ニューロン / 運動ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、記憶・学習行動の1つである線虫C. elegansの温度走性行動において、ギャップ結合・ヘミチャネル構成因子であるイネキシンをコードするunc-7が必須であることが明らかとなっている。UNC-7はAFD温度受容ニューロンで機能することで、線虫C. elegansの温度走性行動を制御することが分かっていた。そこで、UNC-7がAFD温度受容ニューロンの温度刺激に対する神経活動を制御するかを検証するためにAFDニューロンにおけるカルシウムイメージングを行った。その結果、unc-7変異体ではAFDニューロンのカルシウム変動に顕著な異常は認められなかった。このことから、UNC-7はAFDニューロンからの温度情報の伝達の過程を制御することが明らかとなった。 UNC-7を介したAFDニューロンからの温度情報がどのニューロンに伝達されているのかを明らかにするために、細胞破壊株をもちいた検証を行った。UNC-7をAFDニューロンで大量発現すると、好熱性異常を引き起こすことがわかっている。そこで、AFDニューロンとシナプス結合またはギャップ結合を形成することが知られている各ニューロンを遺伝学的に脱落させた細胞破壊系統のうち、UNC-7大量発現による温度走性異常を抑圧する系統を探索した。このスクリーニングによって、AFDニューロンからの温度情報を受け取るニューロンの候補として、AIYおよびRMDニューロンが浮上してきた。AIYはAFDニューロンとシナプスおよびギャップ結合を、RMDはAFDニューロンとギャップ結合を形成することが知られている。今後はこれらのニューロンの機能解析等を進めることでイネキシン/UNC-7による行動制御のメカニズムを明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はunc-7変異体におけるAFDニューロンのカルシウムイメージングを実施することに成功した。また、UNC-7を介したAFDニューロンからの温度情報を受け取る神経細胞の絞り込みにも成功した。これらの結果から、研究計画は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究進捗をもとに、今後はAIYやRMDなどにおける機能解析、およびUNC-7によるこれらのニューロンの神経活動の制御などを明らかにしていく。具体的にはこれらのニューロンの細胞脱落株、およびunc-7遺伝子のAFDニューロン特異的欠損または大量発現株を対象としてmulti worm tracking解析を行い、温度走性行動中の行動戦略の制御においてこれらの因子が果たす役割を明らかにする。この解析によって明らかになった情報をもとに、これらのニューロンのカルシウムイメージングを、自由行動中あるいは固定下での線虫から実施し、行動出力と神経活動の関係性を明らかにすると同時に、UNC-7がこれらのニューロンの活動にどのような影響を与えるのかを明らかにしていく。
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Research Products
(3 results)