2021 Fiscal Year Annual Research Report
A study of a novel trans-regulator FIONA1 and the roles in evolutionary process in Arabidopsis thaliana
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21H02538
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 江理子 九州大学, 理学研究院, 准教授 (20626402)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | RNAメチル化酵素 / スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、地球温暖化が顕在化しつつある中、生態系保全や環境適応的な農業育種の重要性が高まっている。そのような問題の対処に必要不可欠な植物の環境適応能力は表現型の可塑性と遺伝的な変化(進化)によって担保されている。しかし、一体どのような遺伝的な変化が環境適応を推進するのかという問いに明確な回答は出されていない。本研究では新規RNAメチルトランスフェラーゼFIONA1に注目し、 (1)分子メカニズム、(2) 環境適応における機能性を解明を目指して研究を実施した。 FIONA1は哺乳類におけるRNAアデノシンメチル化酵素であるMETTL16のホモログであり、2022年以降、FIONA1の主要な機能性に関する複数の論文が報告されているが、(1) スプライスソームユニットU6 snRNAメチル化修飾を介したスプライシング制御 (Parker et al. eLife, 2022)、(2) メッセンジャーRNAの修飾を介したRNA代謝の調節機能 (Wang et al. Genome Biol, 2022; Sun et al., PLoS Genet, 2022, Xu et al., 2022, Adv. Science) のいずれが主要機能であるかという点に関して研究グループ間で見解が分かれる。私たちは既報の公開データおよびRNAメチル化変異体に加え、取得済みのFIONA1欠損変異体のRNAシークエンスデータを用いてデータ解析パイプラインの評価を行い、スプライシングパターン、RNAメチル化修飾領域ともに、解析パイプライン依存的な大きなバイアスが存在し、各論文の結論に影響を及ぼしていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績で述べた通り、2022年にFIONA1の機能に関する論文が相次いで出版されたが、一方でこれらの主張が一致しないことから、新たに公開データを含めたデータの再解析および解析パイプラインの評価を行い、研究計画の見直し行う必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
FIONA1による遺伝子カスケードの制御を明らかにするため、野生型、および変異体の時系列遺伝子発現データを新たに取得し、数理モデルを用いて遺伝子間の制御関係の推定を行う。またFIONA1が関わる環境適応形質の制御を解明するために、遺伝子発現データから示唆された光合成活性、病害応答、開花調節に関して分子生物学的手法を用いた詳細な解析を行う。
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