2021 Fiscal Year Annual Research Report
トゲウオ科魚類をモデルとした繁殖行動形質の適応的多様化のゲノム基盤
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21H02552
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小北 智之 九州大学, 農学研究院, 教授 (60372835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平瀬 祥太朗 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90635559)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 行動生態 / 行動遺伝 / 本能行動 / 魚類 / 適応進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
野生動物の本能行動の多様化機構の解明は、多様性生物学における大きな挑戦である。特に繁殖行動形質は適応度に直結する形質であり、近縁種間や種内集団間においても適応的多様化していることは珍しくない。繁殖行動形質に多様化をもたらす遺伝的変異はどのようなものであろうか。本研究は、想定進化モデルにおける研究遂行上の利点を有するトゲウオ科魚類(特にイトヨ)をモデル系とし、内分泌基盤を介したオミクス解析技術を駆使することで、未開拓領域である野外における行動多様化の遺伝・ゲノム基盤を描き出すことを目的としている。本年度は、イトヨに関する研究を実施し、下記の成果を得た。 (1)繁殖縄張り闘争能と性ホルモン合成能の関連性に関する逆遺伝学的解析を行うためにCRISPR/Cas9システムにより、アンドロゲン性合成酵素遺伝子の一つに変異を導入したFO世代を用いてF1世代を作出した。F1世代を成魚まで育成することにより次年度にF2世代を作出し、ホモ変異体を作出する予定である。 (2)縄張り闘争能の種内多様性の進化遺伝機構を明らかにするための基盤情報として、日本産淡水型イトヨの複数集団を用いて、野外調査と共通環境実験から攻撃的縄張り行動の発現レベルにおける集団間変異の実態を明らかにした。 (3)縄張り闘争能の集団間変異の遺伝基盤に関する形質遺伝学的アプローチの遂行のために、行動発現レベルが顕著に異なる集団間のF2交雑家系の作出を行った。次年度にこの世代の個体を用いて、表現型アッセイを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象集団の選定、該当集団の行動生態特性の定量化、ゲノム編集個体の作出と育成、形質遺伝学的研究のための交雑家系の作出とおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
各種の飼育育成個体を用いた解析を適切なタイムマネイジメントにより確実に推進する。
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