2021 Fiscal Year Annual Research Report
グッピーにおける色彩装飾形質の進化:csf1r遺伝子に着目して
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21H02558
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河田 雅圭 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90204734)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 性選択 / 色彩装飾形質の進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
グッピーのオスの皮膚での遺伝子発現解析の結果から、オレンジスポット部分ではCsf1シグナル経路のリガンドと受容体遺伝子が高発現していることが分かった。これらの遺伝子はゼブラフィッシュ等で色素細胞の分化や増殖に関与することが知られ、オレンジスポット形成においても重要な役割をもつと予想される。そこでCsf1シグナル経路とオレンジスポットとの関係を明らかにするため、シグナル活性の阻害がオレンジスポットの面積・彩度と皮膚の遺伝子発現に与える影響を調査した。シグナル経路の活性阻害には、Csf1シグナル受容体特異的に活性を阻害剤するBLZ945を利用した。成熟したオスの飼育水に、阻害剤あるいはコントロールとしてジメチルスルホキシドを溶解し、2週間の処理を行った。処理前後の体表の写真からオレンジ面積・彩度を測定し、比較した結果、阻害剤処理後にはオレンジ面積・彩度両方の値が有意に低下していた。さらに、阻害剤とコントロール処理後の皮膚での遺伝子発現をRNA-seqにより網羅的に比較した。検出された発現変動遺伝子の中で、オレンジスポットを構成する黄色素胞に関連する遺伝子を確認した結果、Csf1シグナル経路の阻害により色素細胞の発達や色素合成・蓄積に関与する遺伝子発現が減少していた。以上の結果から、Csf1シグナル経路は色素細胞や色素の合成・蓄積に関連する遺伝子発現を増加させることで、オレンジスポットの面積や彩度の増加にはたらく可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Csf1シグナルが雄のオレンジスポットに影響しているかどうかを確かめるために、Csf1シグナル受容体特異的に活性を阻害剤するBLZ945を利用し、阻害による効果が確かめられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果から示唆されたCsf1シグナル経路とオレンジスポットとの関係と併せると、オレンジスポットはCsf1シグナル経路の活性の反映を介して免疫力の指標として機能する可能性が考えられる。そこでCsf1シグナルと免疫力との関係を明らかにするため、シグナル活性の阻害がグラム陰性細菌の細胞壁成分であるLPSへの生体防御反応に与える影響を調査する。
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