2021 Fiscal Year Annual Research Report
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21H02576
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
能瀬 聡直 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30260037)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / 神経回路発達 / 軸索誘導 / 行動制御 / 行動進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境中からもたらされる様々な感覚情報を適切な行動の実行につなげることは脳神経系の最も基本的な機能のひとつである。本研究ではこれを可能とする神経回路の分子発生機構を、ショウジョウバエ幼虫をモデルとして探る。申請者らはこれまでに幼虫の前進、後退運動の選択において決定的な役割を果たす司令ニューロンWaveを発見している。Waveは体部位によって軸索突起の伸長パターンを変化させることで、異なる体部位への接触刺激を異なる行動へと結びつけるノードとしての役割をもつ。申請者らはさらにWaveの適応的な軸索走行制御において決定的な役割を果たす候補分子としてWnt受容体Fz2を同定している。本申請研究では、Fz2によるWaveの軸索走行制御が感覚―運動回路の入出力パターン、行動、神経結合に与える影響を包括的に解析することにより、適応的な行動制御を可能とする神経回路の構築原理を解読することを目的とする。今年度はWaveニューロンにチャンネルロドプシン2を発現させた単離脳における局所光刺激を用い、Fz変異体において前方Waveが誘導する行動に変化があるかを調べた。その結果、正常体では前方のWaveを特異的に活性化すると後退運動に対応する神経活動が誘発されるのに対し、Fz2変異体においては、前方のWaveを活性化したときに後退が誘導される頻度が有意に減少するとともに、従来は起こらない前進運動が誘発されるのが観察された。このことから、Fz変異体において前方Waveの軸索伸長のパターンが変化するのに伴って、このニューロンが誘発する行動も変化していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、Fz変異により前方Waveの軸索伸長のパターンが変化するとともに、このニューロンが誘発する行動も変化することを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、Fz変異により前方Waveの軸索伸長のパターンが幼虫の正常な行動にどのように影響するかを調べる。
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