2022 Fiscal Year Annual Research Report
Inflammatory response of the habenula underlying depressive-like behaviors
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21H02581
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
相澤 秀紀 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (80391837)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経炎症 / サイトカイン / 神経細胞 / 手綱 / うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「手綱核の局所炎症がモノアミン代謝の失調を介してうつ病を引き起こす」という仮説を検証するため、マウス手綱を対象に神経活動と炎症反応の因果関係を調べ、うつ病の増悪因子であるストレスが神経活動を修飾する神経基盤を明らかにする。 昨年度までに化学遺伝学プローブhM3D-mCherryおよびGFP(対照群)を発現するウイルスベクターをマウス手綱へ導入する方法を確立した。hM3Dへ作用するClozapine N-oxide (CNO)を3日間経口投与し、遺伝子発現解析したところ、慢性的神経細胞活性化に伴う、向炎症性サイトカインの上昇を観察した。今年度は、これまでに観察しているこれらの神経細胞活性化に由来する脳局所の炎症(神経原性神経炎症)の時期特異性について検証した。hM3Dを手綱核に発現させたマウスではCNO投与後24時間の時点では、ホームケージにおけるvoluntary wheel running activityは対象群と比較して有意に変化していなかった。興味深いことにCNOにより24時間刺激された手綱組織は向炎症性サイトカイン遺伝子Interleukin-1b, Interleukin-6, Tissue necrosis factor-aなどの有意な上昇は示さなかった。これらの結果は、手綱局所の神経炎症には持続する慢性的な神経活動変調が必要である可能性を示唆している。 また、慢性ストレスなどの環境要因は、手綱核への末梢免疫細胞の遊走や向炎症サイトカインの産生などが引き起こされることを見出している。このような神経炎症反応がうつ病様の行動異常に与える長期的影響を敗血症マウスで調べたところ、2週間以上にわたって遷延するうつ病様行動異常の増悪を観察し、その背景としてTSPO-C1qシグナルを見出した。これらの研究成果をまとめて国際学術雑誌Shockに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手綱神経細胞の活性化に由来する脳局所の炎症(神経原性神経炎症)の時期特異性について検証した。CNOを24時間経口投与したマウスの行動解析および手綱核の遺伝子発現解析を行った。CNO投与後24時間の時点では、ホームケージにおけるvoluntary wheel running activityは対象群と比較して有意に変化していなかった。遺伝子発現の結果、採取した手綱核は手綱核特異的遺伝子であるBrn3aやPcsk5を高発現しており、手綱核周囲組織に豊富に発現するSlc30a3をほとんど発現していなかった。興味深いことにCNOにより24時間刺激された手綱組織は向炎症性サイトカイン遺伝子Interleukin-1b, Interleukin-6, Tissue necrosis factor-aなどの有意な上昇は示さなかった。これらの結果は、手綱局所の神経炎症には持続する慢性的な神経活動変調が必要である可能性を示唆している。 このように当初の目的を順調に達成しているため、進捗状況は「おおむね順調に進展している」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果は、神経細胞の興奮に起因する炎症性サイトカインの産生を示唆している。今後の主な課題の1つは、これらのサイトカインが神経細胞にどのように作用し、発火パターンをどのように修飾するかを明らかにすることである。この問題に取り組むため、サイトカインを神経細胞に容易に投与可能なin vitroの実験系を行う。具体的には、手綱核を含む急性スライスをマウス成体脳から作成し、細胞外記録により神経細胞の発火パターンを記録しながら、灌流液を介して投与される各種サイトカインの発火パターンに与える影響を調べる。特に、外側手綱神経細胞が示すバースト発火パターンはうつ病関連行動との関連が複数の論文により示唆されているため、神経細胞の発火率だけでなく、これらの発火パターンについてサイトカイン投与の影響を調べることが重要だと考えられる。また、神経細胞の発火パターンは細胞外カリウム濃度に大きく左右されることが知られているため、スライス実験においては、イオン選択的電極を用いて細胞外カリウムを測定し、サイトカイン投与による細胞外イオン環境への影響についても調べる予定である。
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Research Products
(5 results)