2021 Fiscal Year Annual Research Report
Identity and circuit functions of glia engrams
Project/Area Number |
21H02588
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長井 淳 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (60892586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 淳司 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (40454649)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グリア / アストロサイト / 神経 / 行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
アストロサイトは哺乳類の中枢神経系にタイル状に存在するグリア細胞の一種であり、神経回路活動の入出力を制御する細胞として考えられている。しかし、行動中の動物におけるその活動パターン・分布や詳細な機能については未解明な点が多く残されている。本研究課題は,特定の記憶が形成された動物でのみ活性化するアストロサイト活動を補足し、操作することによって、グリアエングラムの存在とその意義を解明することを目的としている。 この目的を達成するために、マウスやウイルスベクターを用いた遺伝学やアストロサイト特異的摂動法を基軸に、全脳イメージングや条件付け記憶アッセイを組み合わせた実験系を用いている。これにより、アストロサイト活動依存的に様々な外来遺伝子(蛍光蛋白質や光・薬理遺伝学プローブなど)を行動パラダイム特異的に発現誘導することができ、アストロサイトの詳細な形態とカルシウム動態の可視化、さらには光遺伝学・薬理遺伝学を駆使しての活動興奮・抑制の誘導などの遺伝学的神経活動操作を行うことが、世界で初めて可能となる。 初年度は、(1)PHP.eBカプシドAAVにパッケージングした全脳レベルのウイルス感染の確立、(2)アストロサイト特異的ベクターによる85-97%のアストロサイト特異性およびペネトレーションの確認、(3)DREADDによるアストロサイト活動依存的な外来遺伝子発現誘導の確認を行なった。さらに、大阪大学の笠井淳司博士らと共同で,アストロサイトの全脳イメージング、3D撮像、インフォマティクスのプラットフォームを構築に着手した。これらの知見は次年度に行う特定の記憶形成に相関するアストロサイト活動の全脳マッピングおよび薬理遺伝学的操作実験の重要な基盤となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究室立ち上げの初年度において、コア技術としてウイルス遺伝子工学やイメージングの導入に成功し安定的に稼働させている。また、全脳イメージングについて、蛍光タンパク質を用いてポストプロセスなしに効率良くアストロサイトを検出できるパラメータの選定が完了したため、ハイスループットにデータが得られることが期待される。さらに、行動試験に関しては、多数のバッチを用いたバリデーションが完了し、記憶形成・想起を評価する段階まで到達し、来年度の実験を効率よく行うパイプラインが整ったと判断し、本年度の進捗としては十分であったと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、初年度に構築した全脳イメージングおよび操作系のプラットフォームを活用し、行動時のアストロサイト活動の相関および因果律の解明を目指す。具体的には、全脳イメージングのデータを取得したのちのインフォマティクス解析手法を検討し駆使することによって、記憶形成および想起時のアストロサイト活動マップを詳細に解析する。さらには薬理遺伝学的手法を中心とした活動操作を全脳レベルで行い、行動の読み出しを行う。
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Research Products
(5 results)