2022 Fiscal Year Annual Research Report
Parallel processing strategy in mid-tier visual areas in primates
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21H02596
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
藤田 一郎 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (60181351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 弘 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 准教授 (80304038)
西本 伸志 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (00713455)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 両眼立体視 / テクスチャー知覚 / 大脳皮質 / 2光子イメージング / fMRI / 内因性信号光学記録 / 一次視覚野 / 両眼視差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、サルやヒトなど霊長類の中期視覚野における視覚的質感と両眼視差の処理を行う経路の特定とその処理内容の理解を進めることを目的とする。従来のサルを用いたシングルユニット活動細胞外記録法による研究の多くは、解析対象の細胞が属する領野の同定はできているが、一つの領野内のサブ構造(例えば、V1のブロブ構造、インターブロブ構造、V2の3種類のストライプ構造)のどれに属しているかが同定されていない。そのため、視覚的質感や両眼視差の情報が、サブ領野構造のどこを通過して処理されているかが不明であり、これら視覚情報の処理経路の正確な理解が得られていない。
本研究では、この問題を解決するために、内因性信号光学計測法にサブ領野記法構造の同定と2光子励起カルシウムイメージング法を用いた個々の神経細胞の反応特性の解析とサブ領野内分布を解明することを目的とする。まず、この技術をサル視覚系に適用するための技術開発(新規作成したGCaMP遺伝子ウイルスベクターの注入最適濃度、体積、間隔、経時変化)を行った。新規GCaMP遺伝子はサルの大脳皮質において、高発現し、dF/F(定常状態における蛍光Fに対して差分dFがどのくらいになるかの比率)が400%にもなる強い蛍光信号を発生し、内因性信号光学計測法により同定したサブ領野との対応をとった神経細胞活動をモニターすることが可能となった。この蛍光信号は6ヶ月以上にわたって計測可能であることが明らかになり、学習などの長期過程の研究に適用できると期待される。
2022年6月よりは、ヒトの中期視覚野における両眼視差の情報処理過程を調べるために、両眼立体視を遂行中の被験者の脳機能イメージング(fMRI)研究を行い、研究代表者らが開発した両眼画像相関の段階的操作刺激を用いることで、両眼対応問題を解決している脳部位の同定を試みた。現在、その論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の主要な実験であるサルを対象にした内因性信号光学記録法と2光子カルシウムイメージング法の統合的適用実験は、新型コロナウイルス感染蔓延による長期中断を経て、技術の確立まで到達し、その成果は、現在、国際誌に投稿され、査読中である。すでに一回目の査読が終了し、追加解析と論文改稿の後、再投稿され、2回目の査読が行われている。
ヒトを対象とした脳機能イメージング実験も、すでに実験が終了し、現在、論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
新規GCaMP遺伝子ウイルスベクターを用いた2光子カルシウムイメージングと内因性信号光学記録法のサル大脳皮質への同時適用の技術に関する論文の査読対応を行い、本成果の論文公表を達成することを最優先とする。
ヒトを対象とした両眼立体視経路のfMRI研究についても論文の作成、投稿、発表を進める。
また、ヒトにおけるテクスチャー知覚や奥行き知覚の特性を理解する一助として、絵画芸術におけるテクスチャー表現、奥行き知覚表現のあり方についての調査を行う。
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