2021 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患の原因アミロイドタンパク質に対する革新的凝集阻害戦略の開発
Project/Area Number |
21H02602
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
相馬 洋平 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (10565518)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / アミロイド / タンパク質 / 凝集 / 阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タンパク質が凝集することによって引き起こされる神経変性疾患の根本的治療法へとつながる、タンパク質の凝集・蓄積を抑制するための方法論の開発を行うものである。 アルツハイマー病の原因となるアミロイドβおよびタウのアミロイドを大変高い効率で酸素化することのできる新規光触媒を開発することができた。同様に、パーキンソン病の原因となるα-シヌクレインアミロイドに対する光酸素化触媒も同定することができた。これら一連の触媒は、マウス頭蓋骨を十分に通過することのできる長波長の光によって活性化することができることに加え、生体内のオフターゲット分子とは反応することなく、アミロイドに対して選択的に酸素化を促進することができた。触媒分子が良好な血液脳関門透過性を有することや、脳ライセート中および生きたマウスの脳内において、アミロイドの酸素化を促進できることも認められた。 一方、アミロイドの立体構造情報に基づいた原子レベルでの精緻なリガンド分子設計を促進する目的のもと、有機化学的な手法によるアミロイドの高次構造解析に取り組んだ。ペプチド固相合成やケミカルライゲーション法などを利用することにより、アミロイドタンパク質を効率的に合成する手法を確立した。得られたタンパク質の凝集性などの性質について、生化学的な解析を進めた。同時に、X線結晶構造解析などを利用し、合成したアミロイドタンパク質の立体構造解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アミロイドを効率的に酸素化することのできる複数の触媒同定に至っていることに加え、独自に化学合成したアミロイドタンパク質の立体構造解析を順調に進めることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたアミロイド酸素化触媒を利用し、動物個体内での非侵襲的な酸素化を行うとともに、これによる治療効果の実証を行う。一方、化学合成したアミロイドの生化学的解析および立体構造解析を引き続き進める。
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