• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2022 Fiscal Year Annual Research Report

Elucidation of molecular mechanisms of neuronal differentiation and search for molecular markers of neurodegenerative diseases by glycoproteomics.

Research Project

Project/Area Number 21H02617
Research InstitutionYokohama City University

Principal Investigator

川崎 ナナ  横浜市立大学, 生命医科学研究科, 教授 (20186167)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 大橋 祥子  横浜市立大学, 生命医科学研究科, 特任助手 (00908709)
高倉 大輔  横浜市立大学, 生命医科学研究科, 特任教員 (90760231)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsグライコプロテオミクス / iPS細胞 / 神経分化 / アルツハイマー病 / LC/MS/MS / OGlcNAc / データ非依存的データ取得法 / 糖鎖生合成酵素
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、神経変性疾患などの診断法や治療法の開発に資する研究として、神経変性疾患モデル細胞を用いて、神経分化に伴う糖タンパク質の糖鎖修飾とその機能を解析し、神経変性疾患に係わる糖鎖の構造や糖鎖生合成酵素を明らかにすることである。
令和3年度は、iPS細胞 (iPSC) 由来アルツハイマー病 (AD)モデル神経前駆細胞を入手し、神経分化のための条件検討を行った。また、O型糖鎖修飾タンパク質の網羅的定量解析法の開発を目標として、データ非依存的(DIA)-MSの最適化を検討した。さらに、神経分化に関与するN型糖鎖修飾の特定を目標として、我々が既に見出している神経特異的N型糖鎖BA2の構造形成に不可欠なBeta-1,4-Mannosyl-Glycoprotein 4-Beta-N-Acetylglucosaminyltransferase(タンパク質名:GnT3;遺伝子名:MGAT3)のsiRNAによるノックダウン実験を行い、MGAT3の発現低下により、細胞増殖が亢進され神経分化が抑制されることを見出した。
令和4年度は、第一にO型糖鎖の中でも特にADとの関係が指摘されているOGlcNAc糖鎖修飾を網羅的に解析することを検討した。データ非依存的(DIA)-MSに必要なOGlcNAc糖鎖結合ペプチドのライブラリを構築し、DIA-MSによる定量を行うことで、神経分化に伴うOGlcNAc修飾の変化を解析できることを確認した。第二に、前年度、神経分化におけるMGAT3の重要性が明らかになったことを踏まえ、神経細胞分化に係わる糖鎖生合成酵素を網羅的に解析する方法の開発を検討した。超網羅的タンパク質ライブラリを構築し、DIA-MSを行うことで、神経分化では硫酸化へパラン硫酸合成酵素が大きく変動することを見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

令和4年度は、第一にO型糖鎖の中でも特にADとの関係が指摘されているOGlcNAc糖鎖修飾を網羅的に解析することを検討した。網羅性と定量性に優れたデータ非依存的(DIA)-MSでOGlcNAc糖鎖修飾を解析するためには、OGlcNAcペプチドのマススペクトルライブラリの構築が不可欠である。そこで、iPS細胞を神経細胞に分化させることで分化誘導期間の異なる細胞を数種類調製し、可溶化、タンパク質回収、トリプシン消化により糖ペプチド断片を得て、GlcNAcを認識するWGAレクチンを用い、OGlcNAcペプチドを回収した。DDA-MSで得られたデータを用いてライブラリを構築し、DIA-MSによる定量ができることを確認した。この方法を用いて、神経分化に伴い変化するOGlcNAcタンパク質を明らかにすることができた。
第二に、前年度、神経分化におけるMGAT3の重要性が明らかになったことを踏まえ、神経細胞分化に係わる糖鎖生合成酵素を網羅的に解析する方法の開発を検討した。iPSCを神経(外胚葉系)だけでなく、心筋(中胚葉系)、肝前駆細胞(内胚葉系)に分化させ、それらから得たペプチドをDDA-MSで解析することで、16000種のタンパク質を含む超網羅的タンパク質ライブラリを構築した。ここから糖鎖生合成酵素のデータを抽出し糖鎖生合成酵素ライブラリを作成し、DIA-MSを行うことで、153種の糖鎖生合成酵素を一斉に解析することが可能となった。その結果、神経分化ではへパラン硫酸合成に係わる一部の酵素が大きく変動することを見出した。以上のように令和4年度は、ライブラリの拡張とDIA-MSによる糖鎖および糖鎖生合成酵素の網羅的定量解析法の開発を行った。当初の計画以上に研究は進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

令和5年度は、平成3年度に得られたゲノム編集により作製されたアルツハイマー病モデル細胞とパーキンソン病モデル細胞、およびそれらの対照細胞のOGlcNAc修飾と糖鎖生合成酵素プロファイルを、OGlcNAcおよび糖鎖合成酵素ライブラリを利用したDIA-MSにより比較し、神経変性疾患に関係するOGlcNAc基質タンパク質および糖鎖合成酵素を明らかにする。また、令和4年度、神経分化においてヘパリン硫酸合成酵素が大きく変動することを見出したことから、ヘパリン硫酸のコアタンパク質を同定する。
これらの結果を踏まえ、神経分化や神経変性疾患におけるOGlcNAc、糖鎖生合成酵素、ヘパリン硫酸の役割を明らかにするため、iPSCおよび神経変性疾患モデル細胞のOGlcNAc転移酵素 (OGT)、OGlcNAc分解酵素 (OGA)、OGlcNAc基質タンパク質、変化の大きかった糖鎖生合成酵素、ヘパラン硫酸の合成に係わる酵素、ヘパラン硫酸コアタンパク質をsiRNAもしくはゲノム編集により発現制御し、形態変化および網羅的プロテオミクスとバイオインフォマティクス(GO解析、パスウェイ解析、ネットワーク解析など)でその影響を解析する。これら一連の実験により、神経変性疾患に係わる糖鎖関連分子を同定し、診断・創薬ターゲットとしての可能性を考察する。

  • Research Products

    (10 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (9 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Quantitative proteomics for development and manufacturing of human induced pluripotent stem cell-derived neural stem cells using data-independent acquisition mass spectrometry2023

    • Author(s)
      Takaya Urasawa, Takumi Koizumi, Kazumasa Kimura, Yuki Ohta, Nana Kawasaki
    • Journal Title

      J Proteome Res

      Volume: in press Pages: in press

    • DOI

      10.1021/acs.jproteome.2c00841

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 細胞外マトリクスの違いが内胚葉分化におよぼす影響の解析2023

    • Author(s)
      河内悠華子、西村梨香、川崎ナナ
    • Organizer
      日本薬学会第143年会
  • [Presentation] ヒトiPS細胞の神経分化過程における糖転移酵素GnT-Ⅲの機能解析2023

    • Author(s)
      松嶋 華子、西村 梨香、浦澤 貴哉、川崎 ナナ
    • Organizer
      日本薬学会第143年会
  • [Presentation] ヒトiPS細胞の神経及び心筋細胞分化における糖鎖の機能解明を目指した糖鎖関連酵素の網羅的解析2023

    • Author(s)
      西村梨香、浦澤貴哉、松嶋華子、河内悠華子、川崎ナナ
    • Organizer
      日本薬学会第143年会
  • [Presentation] ヒトiPS細胞由来神経幹細胞の超網羅的定量プロテオミクスと分化制御因子の同定2022

    • Author(s)
      浦澤貴哉, 西村梨香, 小泉匠, 木村一雅, 太田悠葵, 川崎ナナ
    • Organizer
      第12回レギュラトリーサイエンス学会学術集会
  • [Presentation] DIA-MSを用いた定量プロテオミクスによるヒトiPS細胞の分化制御因子の探索2022

    • Author(s)
      浦澤貴哉、小泉匠、木村一雅、太田悠葵、川崎ナナ
    • Organizer
      日本プロテオーム学会
  • [Presentation] DIA-MSによる幹細胞の神経分化における糖鎖合成酵素の時間的プロファイリング2022

    • Author(s)
      西村梨香、松嶋華子、浦澤貴哉、川崎ナナ
    • Organizer
      日本プロテオーム学会
  • [Presentation] データ非依存的取得法を用いた定量プロテオミクスによるヒト人工多能性幹細胞の神経幹細胞分化制御機構の解明2022

    • Author(s)
      浦澤貴哉、小泉匠、木村一雅、太田悠葵、川崎ナナ
    • Organizer
      第70回日本質量分析総合討論会
  • [Presentation] ヒト人工多能性幹細胞を用いた超網羅的タンパク質分析法の開発と糖転移酵素変動解析への応用2022

    • Author(s)
      西村梨香、浦澤貴哉、小泉匠、川崎ナナ
    • Organizer
      第70回日本質量分析総合討論会
  • [Presentation] グライコプロテオミクスとモダリティ開発2022

    • Author(s)
      川崎ナナ
    • Organizer
      臨床プロテオゲノミクス学会
    • Invited

URL: 

Published: 2023-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi