2021 Fiscal Year Annual Research Report
New molecular mechanisms for membrane-mediated transcellular transport across the blood brain barrier
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21H02649
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大槻 純男 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (60323036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 慎悟 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (20466535)
増田 豪 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (70383940)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳関門 / 脳毛細血管 / 膜輸送 / 内在化 / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
内在化に関わるinsulin receptorをノックダウンした不死化ヒト脳毛細血管内皮細胞(hCMEC/D3細胞)した。ノックダウン細胞をプロテオミクス解析した結果、血液脳関門(BBB)の特徴的機能分子であるMDR1とClaudin-5の発現が低下していた。MDR1は排出機能も低下した。また、amyloid-bペプチド産生酵素の誘導、分解酵素の低下、および内在化受容体の上昇が認められた。この発現変化は脳血管周囲および内部にamyloid-bペプチドが蓄積するcerebral amyloid angiopathy (CAA)を促進する方向である。インスリン抵抗性はアルツハイマー病、CAAのリスクであり、興味深い結果である。以上からinsulin receptorは輸送分子の機能に加え、BBB機能発現や中枢疾患と密接に関わっていることを明らかにした。さらに、内在化に関わることが予想されるPodocalyxin (PODXL)をノックダウンしたhCMEC/D3細胞を作成した。PODXLノックダウン細胞ではPODXL発現が約40%低下し、細胞増殖や細胞形への影響は観察されなかった。蛍光標識TATの細胞取込みを検討した結果、ノックダウン細胞においてはTATの取込みの低下は認められなかった。一方で、一部膜タンパク質の膜存在量が増加するなど内在化経路への影響を示唆する結果が得られた。独自に同定したBBB透過環状ペプチドのD3細胞透過過程におけるtransferrinとfibrinogenの影響を検討した結果、環状ペプチドの透過速度が上昇することが明らかとなった。そこで、exosome放出促進剤であるmonensinの影響を検討した結果、同様に環状ペプチドの透過速度を上昇させることを見出した。この結果は環状ペプチドの分泌過程にexosome関連経路が関わっている事を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りノックダウン細胞を作成し、各種解析を実行した。Insulin receptorに関しては当初計画をほぼ完了した。PODXLに関しては、TATの取込みに関して当初予定とはことなり取込みの低下が認められなかった。一方で、細胞内在化を含めた細胞内輸送への影響を示唆する結果が出ているため、解析の方向性を微修正する。
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Strategy for Future Research Activity |
Insulin receptorに関しては当初計画をほぼ完了した。PODXLに関しては予定通りプロテオミクス解析を実施し、ノックダウンによる分子変化を詳細に解析する。また、環状ペプチドに関しては、さらに内在化と分泌の過程の解析を進める。
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