2021 Fiscal Year Annual Research Report
上皮間葉転換の生体内動態可視化によるがん転移の時空間的理解と新規治療法開発
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21H02650
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
井上 靖道 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (10450579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 秀敏 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (80198853)
宮嶋 ちはる 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (40770798)
今村 健志 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (70264421)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / TGF-β / TNF-α |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮間葉転換 (EMT) は、がんの浸潤・転移をはじめとしたがんの悪性化に深く関与している。しかしながら、EMT研究においては、in vitroで得られた結果と、in vivoでの研究結果との間で整合性がつかないことも多く、両者を隔てる原因として、生体における腫瘍の時間空間的多様性が考えられる。本研究では、EMTを起こしたがん細胞の生体内動態を可視化できるイメージングシステムを構築して、EMT形質の獲得および腫瘍化に重要な因子やシグナル伝達を明らかにし、がん転移を予防または克服する薬の創造的開発につながることを目的とした。 今年度の研究で以下の結果を得た。 (1)ヒトビメンチン(Vim)プロモーター、マウスVimプロモーターを元にしたEMT可視化レポータープラスミドを用いて、NMuMG及びA549をはじめとした各細胞株に導入しTGF-β、TNF-αによるEMT誘導とレポーター活性化を確認した。ビメンチン以外にも、間葉系マーカーN-cadherinとテネイシンC、上皮系マーカーE-cadherinを利用した可視化プローブの検討も実施した。(2)作成したEMT可視化を用いて、がん原遺伝子c-MycによるSnail誘導を介したEMT誘導機構の分子メカニズムを解析した。加えて、脱ユビキチン化酵素USP17がc-Mycの脱ユビキチン化を介してc-Mycタンパクを安定化させ、c-Mycによる細胞増殖とワールブルグ効果様代謝変化を促すことを明らかにし論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標として、(1)EMTイメージングシステムの構築、(2)EMTフェイトマッピングシステムの構築を予定していた。(1)については順調に進んでおり、構築したシステムを利用した研究に展開している。(2)については若干検討が遅れているものの、全体としてはおおむね順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初掲げた計画に沿って、本年度は(1)EMTイメージングシステムの構築を引き続き進めるとともに、(2)オプトジェネティクス技術を用いたEMT誘導細胞を除去するシステムを構築して、EMT誘導に重要な因子やシグナル伝達を明らかにする。
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Research Products
(18 results)