2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study of molecular mechanisms of retinal development by single cell RNA-seq analysis
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21H02657
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古川 貴久 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (50260609)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 網膜 / 転写因子 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、本研究において、網膜の細胞運命決定と成熟ならびに選択的シナプス形成に関わる因子を、発生期マウス網膜を用いたシングルセルRNA-seq解析によって、発生過程の遺伝子発現プロファイルを一細胞レベルの解像度で可視化することによって同定し、それらの機能とその作用メカニズムを生体レベルで明らかにし、中枢神経系の発生の分子メカニズムや網膜視覚回路の機能発現の理解に貢献することを目指している。申請者は、初年度にシングルセルRNA-seq解析によって同定した複数の候補遺伝子の中から、昨年度に、網膜未分化前駆細胞から視細胞前駆細胞へと分化するに従って特異的に発現が増加する機能未知な蛋白質をコードする遺伝子を新たに同定した。網膜のシングルセルRNA-seq解析から、アマクリン細胞に分化する過程に特異的に発現する遺伝子として別の機能未知の転写因子も同定した。ウイルスベクターを用いた当該蛋白質および転写因子の遺伝子発現による細胞系譜解析を行い、網膜未分化前駆細胞におけるこれら分子の発現により、それぞれ視細胞あるいはアマクリン細胞の分化が促進されることを見出した。さらに、これらの遺伝子のウイルスベクターを用いたノックダウン実験により、視細胞あるいはアマクリン細胞の分化が阻害されることも見出した。これら当該遺伝子のKOマウスを作製し、組織学的解析や網膜電図解析などを行うとともに、アマクリン分化転写因子のKOマウスの発生期の網膜を用いたシングルセルRNA-seq解析を行い、細胞運命に関わると考えられる遺伝子プロファイルのデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において予定していた内容が研究予定に沿って研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年までに同定した視細胞あるいはアマクリン細胞の分化に関わる転写因子の機能について、KOマウスの詳細な表現型解析などを通じて、これら転写因子の網膜細胞運命における機能解明を進め、生化学的な解析により、転写因子のターゲット遺伝子の同定や機能メカニズムを明らかにすることを通じて、視細胞ならびにアマクリン細胞の細胞運命決定の分子メカニズムを明らかにしていく。さらに、申請者が従来から行ってきた網膜回路構築と選択的シナフス形成に関わる分子の同定と機能メカニズムの解析も行っていく。
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