2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H02682
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
瀬川 勝盛 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (20542971)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞膜 / 小胞体 / リン脂質 / フリッパーゼ / 非対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
フリッパーゼであるATP8A1とATP11BをATP11A-ATP11C二重欠損細胞の遺伝背景において欠損させ(四重欠損細胞)、定常状態で細胞膜のホスファチジルセリン(PS)が露出するかを確認した。その結果、既知のPSフリッパーゼをすべて失ったフリッパーゼ四重欠損細胞は、依然として細胞膜のPSの非対称分布を樹立することが明らかとなった。本年度では、この四重フリッパーゼ欠損細胞株を用いて、Genome-wide CRISPR/Cas9法を用いた機能スクリーニングを行った。具体的に、四重欠損細胞に、約21000の遺伝子を標的にしたCRISPR/Cas9 sgRNAライブラリーを組み込んだウイルスを感染させ、各種遺伝子を破壊する。次いで、定常状態においてPSの非対称性が崩壊し、PSを表面に露出した変異細胞をセルソーターで分取し、どの遺伝子が欠損しているかを明らかにした。四重フリッパーゼ欠損細胞を用いた上述のスクリーニングの結果、候補分子の同定(PS regulator: PSReg)に成功した。本年度は、PSRegの解析を中心に行なった。その結果、PSRegが小胞体に存在すること、複数の分子からなる複合体を形成していることを見出した。PSRegがどのように細胞膜PSの分布を制御するのかその分子機構をさらに明らかにしていくことを目指す。さらに、前年度に同定できたホスファチジルコリン制御分子(PC regulator: PCReg)の解析も行なった。その結果、PCRegが細胞膜に局在すること、PSRegのような複数の分子からなる複合体を形成していないことが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に同定した分子(PSReg, PCReg)の細胞内局在、複合体の解析に成功した。これらの分子を欠損した細胞の細胞膜のリン脂質の分布や移層活性を定量した。また、PCRegの遺伝子欠損マウスの樹立、PCRegの抗体や大量精製の系の樹立にも成功した。概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
PSRegとPCregがどのように細胞膜リン脂質の分布を制御しているのか、その分子機構を解明することを目指す。本年度には、同定した分子の発現、精製系を樹立することに成功した。今後は、精製分子を用いて構造を決定すること、リン脂質の移層活性を精製タンパク質を用いて検出すること、遺伝子欠損マウスの表現型を解析すること、遺伝子欠損細胞のリピドミクス解析とプロテオミクス解析、遺伝子発現解析をおこなうことでその生理作用を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(4 results)