2021 Fiscal Year Annual Research Report
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21H02689
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
荒木 良子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 上席研究員 (40392211)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 変異 / 分化 / 活性酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
iPS細胞の変異について、これまで解析がされてこなかったマイクロサテライト領域について詳細な解析を行った。マウスiPS細胞では、ES細胞より約6倍iPS細胞に変異が多いこと、また、我々が樹立し、点突然変異が少なかったヒト臍帯血赤芽球由来iPS細胞のマイクロサテライト異常の頻度は、線維芽細胞由来iPS細胞の約3分の1であったことを明らかにした(Kamimura et al, Stem Cell Reports 2021)。また、臍帯血赤芽球由来ヒトiPS細胞の品質検証のため、臓器レベルの再生医療に欠かせない材料である神経幹細胞や血管内皮細胞について分化誘導を試みた。4株の臍帯血赤芽球から樹立したiPS細胞について神経幹細胞、さらに、神経細胞、グリア細胞への効率的分化が確認された。また、2株のiPS細胞について血管内皮細胞への分化を試みたところ、2株のうち1株が高効率に内皮マーカー(CD31+CD144陽性となり、血管新生アッセイにおいても、典型的なチューブ構造を示した。これらの結果から、臍帯血赤芽球から樹立したiPS細胞は分化誘導に適しており、再生医療への利用に有望であることが示された。次に、臍帯血赤芽球から樹立したiPS細胞のみならず、他の体細胞由来のiPS細胞、全ゲノムデータが登録されているiPS細胞について再解析を行い、変異シグナチャーから想定される変異メカニズムを考察した。さらに、臍帯血赤芽球を用いたiPS細胞樹立システムにおける変異抑制メカニズムを知るため、マイクロアレイによる遺伝子発現解析結果から、活性酸素種の消去に関わる遺伝子および、ミトコンドリアにおいて代謝に関する遺伝子発現において特徴的なパターンを示すことを明らかにし、変異との関連について解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験は概ね進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
興味深い結果が得られたため、計画の順番などを変更し、進める。
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