2021 Fiscal Year Annual Research Report
Promotion of emerging and re-emerging virus research using high-speed reverse genetics
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21H02736
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福原 崇介 北海道大学, 医学研究院, 教授 (70598739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 慎子 大阪大学, 感染症総合教育研究拠点, 特任准教授(常勤) (30626437)
津田 祥美 長崎大学, 高度感染症研究センター, 准教授 (70447051)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SARS-CoV-2 / リバースジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者は高速リバースジェネティクス系による組換えSARS-CoV-2の簡便かつ迅速な作製系を確立している。この技術を用いて、SARS-CoV-2に認められた変異の中で、L452Rに着目し、この変異を持つ組換えウイルスを作製した。この変異を持つことによって、ワクチンおよび感染に伴って誘導される獲得免疫からウイルスが逃避できることを明らかにした。 次に、SARS-CoV-2のデルタ株に特徴的に存在するP681R変異を持った組換えウイルスを作製し、その性状解析を行なった。P681R変異はスパイクタンパク質の開裂効率に関与し、それが細胞の融合能に関わることを明らかにした。P681R変異はin vitroおよびin vivoでのウイルスの感染拡大効率に関与しており、この1アミノ酸置換によりウイルスの病原性が有意に変化することが明らかになった。さらに肺組織における炎症も強くなることが明らかになった。この結果をNature誌に公表した。さらに、オミクロン株(BA.1株)の意義を解明するために、臨床分離株および組換えウイルスを用いた解析を行なった。オミクロン株のスパイクはデルタ株や従来株と比べて開裂効率が悪く、感染拡大効率が悪いことが明らかになった。in vivoにおいても気管支上皮から肺胞に感染が広がりにくいことがわかり、逆にオミクロン株は気管支上皮細胞に感染細胞が持続的に残存することが明らかになった。オミクロン株の病原性および炎症の程度は弱毒の方向に進化していることがわかった。この研究成果をNature誌に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高速リバースジェネティクスを用いた変異株解析を推進することを本計画の1つとしていたが、変異株の出現に伴い、迅速な対応を行うことで、Cell Host Microbe、Nature2本という形で大きな成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もSARS-CoV-2の変異の意義の解明、薬剤の耐性化に関する解析などを高速リバースジェネティクスを用いて継続解析を行う。また、フラビウイルスの組換えウイルスの作製も行い、分子生物学的解析を行う。
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Research Products
(3 results)