2021 Fiscal Year Annual Research Report
変異インフルエンザウイルス感染防御に有効な記憶B細胞活性化機構の解明
Project/Area Number |
21H02740
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新中須 亮 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (00451758)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | インフルエンザ / 液性免疫 / 免疫記憶 / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、まず始めに、メモリーB細胞を中心としたStem特異的B細胞が変異ウイルス抗原により活性化される際の生体内での動態に関してフローサイトメトリーとシングルセルレパトア解析による評価を行った。一次インフルエンザ感染で誘導されたStem特異的メモリーB細胞とその後、変異ウイルス株によるワクチン接種時にナイーブやメモリーB細胞から誘導されるStem特異的GC B細胞ならびに、プラズマ細胞について、一次メモリー細胞を特異的に標識できるマウスモデルを用いて評価したところ、主に活性化している細胞はメモリー由来の細胞であることが確認された。また、その際のレパトアを評価したところ、プラズマ細胞への分化は全ての1次メモリー細胞からまんべんなく誘導されていたのに対し、2次胚中心(GC)B細胞は一部の1次メモリー細胞からのみ誘導されていた。これらの細胞に関する特徴に関しては現在、シングルセルRNAseqによる解析中である。また、2次メモリー細胞の誘導に関する評価も実施中である。 また、変異抗原によるワクチン接種後の免疫応答に影響を与えるうる要素の評価ならびにメカニズム解明と効率的なメモリーコンパートメント形成誘導法の探索として、2021年度は、i)存在する1次メモリーB細胞の量による影響、ii)2次感染時に誘導された抗体によるウイルス抗原マスキング効果による影響、について評価を行った。1次メモリーB細胞の量による影響に関しては、メモリー細胞に誘導したStem特異的BCRノックインB細胞の移入実験を行い、プラズマ細胞の誘導に関しては数による影響は大きくなかったのに対し、2次GC B細胞の誘導には数が大きく影響することが明らかとなった。さらに、プラズマ細胞欠失誘導マウスを用いたStem特異的抗体による影響の評価も行い、2次GC細胞誘導には抗体からの影響も存在する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に計画していた実験は、シングルセルRNAseqの解析で若干予定よりも遅れているところはあるものの、その他の実験に関しては全ての実験系が上手くワークし、予定していた実験は全て実施できた。また、結果に関してもおおよそ期待していた結果を得ることができているため、大きな計画の変更は必要ない。RNAseqの解析に関しても2022年には遅れの分は十分取り戻せるレベルの遅れである。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ仮説通りの結果が得られており、引き続き、当初の計画通り進めていく予定である。特に、「メモリーB細胞を中心としたStem特異的B細胞が変異ウイルス抗原により活性化される際の生体内での動態やメモリーコンパートメント形成に関わる細胞群の特徴評価」に関しては、シングルセルRNAseq解析とStem特異的BCRレパトア(LIBRA-seq)の同時解析による各細胞分画(クラスター)について、特徴的な遺伝子発現パターンならびにそれぞれの抗体(BCR)の特徴、1)VH/Vkgene usage、2)親和性、3)HA型の交差反応性、についてさらなる詳細な検証を引き続き行う。また、「変異抗原によるワクチン接種後の免疫応答に影響を与えるうる要素の評価ならびにメカニズム解明と効率的なメモリーコンパートメント形成誘導法の探索」については、引き続き遺伝改変モデルマウスを用いての詳細な検証を行う。
|
Research Products
(4 results)