2022 Fiscal Year Annual Research Report
シングルセル解析による免疫記憶生成メカニズムの解明
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21H02749
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 毅 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (80466838)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫記憶 / 記憶B細胞 / シングルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究より、胚中心で表面BCR発現量の高いB細胞が記憶B細胞に分化しやすい可能性が示唆された。胚中心B細胞におけるBCR発現量の違いが記憶B細胞分化に寄与するのか、その因果関係の証明のため、表面発現量および抗原親和性の定量化を可能とする実験系の構築を継続した。NPハプテン特異的胚中心明領域B細胞と、記憶B前駆細胞シングルセルより取得したBCR遺伝子をクローニングしてリコンビナント抗体を作製し、抗原親和性を測定した。測定結果に基づき、親和性が同程度であるが細胞表面発現量の異なるBCR配列を10クローン選択した。このBCR配列をマウスprimary B細胞にノックインするため、その実験系の構築を行った。 検討の結果、マウスB細胞の免疫グロブリン遺伝子座にCRISPR/Cas9を用いて内在性のIgh遺伝子を切断し、選択したBCR配列断片の導入・相同組換えによって、内在性Igh遺伝子座に外来性BCR配列をノックインする実験系の構築に成功した。 当初のノックイン効率は0.3%ほどであったことから、次に実験条件の改良を試みた。細胞培養条件、遺伝子導入試薬、導入遺伝子断片の改変により、ノックイン効率を1~2%まで向上させることに成功した。 このノックインB細胞におけるBCRの発現量を解析したところ、マウス生体内で胚中心あるいは記憶B細胞として発現していたときの表面BCR量を正しく反映していることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行する上での重要な克服課題として想定していた、CRISPR/Cas9システムによるBCR遺伝子ノックイン実験系の開発を達成することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでで確立した実験系により作成したBCRノックインB細胞の、in vivoにおける分化過程を解析するため、養子移入実験によりノックインB細胞の抗原応答を解析し、記憶B細胞分化を制御するメカニズムを明らかにする。
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Research Products
(6 results)