2021 Fiscal Year Annual Research Report
lncRNA-RBP複合体によるユビキチン-プロテアソーム制御機構
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21H02758
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷上 賢瑞 東京大学, アイソトープ総合センター, 特任准教授 (90648627)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | TP53 / lncRNA / ユビキチン-プロテアソーム / SART3 / USP15 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパクをコードしないRNAのうち、200塩基以上のRNAを長鎖ノンコーディングRNA (lncRNA) と総称する。lncRNAが発生や幹細胞性の維持、癌化のような重要な生命現象に関わっていることが明らかとなってきた。しかし、癌の腫瘍形成能における役割は未だ不明な部分が多い。申請者は、癌組織で高発現しており、発現を抑制するとp53量が増加し、p53依存的に大腸癌の腫瘍形成能が抑制する新規のlncRNA Xを発見した。さらに、質量分析によって、RNA認識モチーフ (RNA recognition motif; RRM) を有するRNA結合タンパク質Yが、当該lncRNAに特異的に結合することを明らかにした。p53タンパク質量はユビキチン-プロテアソームにより、厳密に制御されていることが知られている。申請者は、lncRNA X - RNA結合タンパク質Y複合体に、脱ユビキチン化酵素及びプロテアソーム構成因子が結合することを見出した。本研究課題ではlncRNAによるユビキチン-プロテアソーム機構を介したp53制御機構を明らかにし、lncRNAが有するp53依存的な腫瘍形成能維持機構を解明することを目的とした。 本年は、RNA結合タンパク質YのlncRNA X結合領域を明らかにし、当該領域内にタンパク質Yの既知結合ドメインが含まれることを明らかにした。また、lncRNA Xが、p53のポリユビキチン化を制御していることを明らかにした。さらに、大腸癌細胞において脱ユビキチン化酵素の発現抑制により、lncRNA Xの発現抑制によるp53量の増加及び大腸癌細胞の増殖抑制が緩和されることを明らかにした。これらの結果より、大腸癌細胞では、lncRNA Xが脱ユビキチン化機構を制御することにより、p53たんぱく質を介した腫瘍形成能を獲得している可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
lncRNA XによるRNA結合タンパク質を介したp53の脱ユビキチン化機構を明らかにすることが出来た。現在は、論文投稿準備中であり、本年度は順調に研究が進展したと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度まで進めてきた研究を、引き続き実施する。主にユビキチン化機構・プロテアソーム複合体とp53との関連や、核内でのp53の挙動を中心に解析を進める。
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