2021 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of HER1/2 receptor tyrosine kinases by RhoB-CNKSR1 complex
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21H02763
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
東山 繁樹 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (60202272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 大志 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 講師 (10771917)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HER2陽性乳がん / RhoB / CNKSR1 / プロテインチロシンホスファターゼ / PTPRH / CUL3 / ユビキチン リガーゼ / プロテインアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
肺がんや乳がんを代表とする多くの固形がんで、増殖因子EGFの受容体ファミリー分子Human EGF Receptor1~4 (HER1~4)の発現増幅や自己活性化変異が認められることから、これまでにHER1~4、特に HER1とHER2の制御剤が開発され、臨床応用に至っている。一方、正常細胞では、このHER活性化は一過性に起こり細胞増殖分裂周期を起動させた後、不活性化され、細胞分裂が連続的に起こるのを防ぐシステムを持つ。その鍵分子がプロテインチロシンホスファターゼ(PTP)である。 これまで HER1/2を不活性化するPTPが報告されてきたが、どのように時間・空間的に制御されているのか不明のままである。 我々はこれまでに、HER1/2の活性化を制御する分子として CUL3-KCTD10ユビキチン (Ub)E3リガーゼ複合体を同定し、これが RhoBをポリUb化し分解へと誘導することで、HER1/2の活性化を誘導することを突き止めた。逆に、RhoBレベルを上昇させることで、HER1/2を不活性化し、HER2陽性乳がん細胞の過増殖を抑制出来ることを示した。さらに、RhoBが直接制御する鍵因子として CNKSR1を同定し、CNKSR1ノックダウンによりHER1/2の不活性化とHER2陽性乳がん細胞の顕著な増殖抑制を確認出来たことから、RhoB-CNKSR1軸が活性化HER1/2を標的とするPTPを制御している可能性を見出した。 2021年度は、独自に作成したPTPプロテインアレイを用いてCNKSR1が標的とするPTPをスクリーニングした結果、12種の候補分子を選択した。さらにこれらの siRNAを用いたノックダウン解析から、RhoB-CNKSR1軸が制御するHER1/2を標的とするPTPとして、PTPRHを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ビオチン化ヒトCNKSR1およびFlagタグ導入ヒト・プロテインホスファターゼ171種を、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いて合成し、ビオチン化CNKSR1に相互作用するプロテインホスファターゼをアルファスクリーン法によりスクリーニングした。その結果、アルファスクリーン・シグナルがバックグラウンドの10倍値を超える12種を選択した。さらに、これら12種のプロテインホスファターゼ遺伝子に特異的siRNAを用いてノックダウンする事で、RhoBの強制発現で誘導されるHER1/2の不活性化 (脱リン酸化)を抑制し、且つ、CNKSR1ノックダウンによるHER1/2の不活性化 (脱リン酸化)を抑制するsiRNAを1種同定した。本siRNAはプロテインホスファターゼPTPRHを標的とする siRNAであることから、RhoB-CNKSR1軸が制御するHER1/2 PTPとしてPTPRHを突き止めた。さらに、 HER2陽性乳がん細胞 SKBR-3細胞において、PTPRH のノックダウンによりHER1/2 が活性化し、細胞増殖が促進すること、逆にPTPRH の過剰発現によりHER1/2 が不活性化し、細胞増殖が抑制されることを確認した。さらに、RhoB-CNKSR1分子相互作用、およびPTPRH-CNKSR1分子相互作用解析から、RhoB、PTPRH 共にCNKSR1の PHドメインに相互排他的に結合することを明らかにした。以上の結果から、RhoBレベルが上昇するとRhoB-CNKSR1相互作用が優位となり、PTPRHが遊離し活性型となりHER1/2 が抑制する。一方、RhoBレベルが低下するとPTPRH-CNKSR1相互作用が優位となることで、PTPRHが不活性型となりHER1/2 が活性化する、といった3分子間相互作用によるHER1/2活性化/不活性化の制御機構を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の解析から、HER1/2不活性化にはPTPRH-CNKSR1相互作用を阻害することが重要であることが強く示唆されたことから、PTPRH-CNKSR1相互作用を阻害する低分子性化合物のスクリーニングを中心に進め、得られる化合物の HER2陽性乳がんに対する抗腫瘍効果を検証する。
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[Journal Article] CNKSR1 serves as a scaffold to activate an EGFR phosphatase via exclusive interaction with RhoB-GTP2021
Author(s)
Kanako Nishiyama, Masashi Maekawa, Tomoya Nakagita, Jun Nakayama, Takeshi Kiyoi, Mami Chosei, Akari Murakami, Yoshiaki Kamei, Hiroyuki Takeda, Yasutsugu Takada, Shigeki Higashiyama
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Journal Title
Life Sci Alliance
Volume: 4
Pages: e202101095
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] A novel mechanism of phosphatase activation for EGFR by Cullin-3/KCTD10 ubiquitin E3 complex in HER2-positive breast cancer cells2021
Author(s)
Kanako Nishiyama, Masashi Maekawa, Akari Murakami, Kaho Utsunomiya, Kana Takemoto, Erina Kusakabe, Haruna Noda, Reina Aoki, Kana Taguchi, Michiko Yamashita, Tomoya Nakagita, Jun Nakayama, Mami Chosei, Takeshi Kiyoi, Yoshiaki Kamei, Hiroyuki Takeda, Yasutsugu Takada and Shigeki Higashiyama.
Organizer
2021 San Antonio Breast Cancer Symposium
Int'l Joint Research