2021 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌オルガノイドライブラリーを用いた肺癌シグナル経路異常の解明
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21H02765
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安田 浩之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70365261)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺癌 / オルガノイド / シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は今までに患者由来の肺癌検体から肺癌オルガノイドを樹立する基盤を構築してきた。患者由来肺癌オルガノイドは、肺癌の生物学的理解を進めるための強力なツールであるが、現段階において、その樹立効率は高くなく、今後更なる効率的な樹立が求められている。本研究では、肺癌オルガノイドの効率的な樹立のための培養条件の検討を行った。具体的には、肺癌細胞のみでなく非癌肺細胞(気道細胞、肺胞細胞)も含めて、培養液に添加するニッチ因子を検討し、最適な条件の検討を行った。特に肺胞細胞の樹立効率の改善が認められ、それに伴い肺胞細胞を起源とする肺腺癌の樹立効率の改善も確認できている。 また、肺癌細胞および非癌肺細胞がどのようなシグナルに依存して増殖するのかを明らかにするため、独自に開発したキナーゼ(673遺伝子)、転写因子(1625遺伝子)に対するCRISPR/Cas9 knockoutライブラリーを用いた実験を行った。EGFR遺伝子変異陽性の肺癌オルガノイドで、EGFRがトップヒットの遺伝子の一つとして検出されることを確認し、実験系が機能していることを確認した。これにより非癌肺細胞および肺癌細胞が増殖のために依存する遺伝子とそれに関わるシグナルの一部を明らかにした。その中には、肺癌の治療標的としての可能性を有するものも含まれており、現在これらに対する治療戦略の妥当性を、in vitroおよびin vivo実験を行い検証を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より予定していた、ニッチ因子の検討とCRISPR/Cas9ノックアウトライブラリーを用いた研究が進んでおり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
肺癌オルガノイドの効率的樹立は、本研究を支えるうえで最も重要な点であり。今後も更なるニッチ因子の検討を行い、最適な培養条件を探っていきたい。また、CRISPR/Cas9ノックアウトライブラリーを行う肺癌オルガノイドラインを増やし、肺癌における分子異常と依存遺伝子・シグナルの関係を明らかにしていく予定である。この中から、肺癌における新たな治療標的を同定し、新規治療法開発につなげていきたい。
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