2021 Fiscal Year Annual Research Report
がん特異的融合タンパク質の分解を阻害する脱ユビキチン化酵素と分子標的治療
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21H02777
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内藤 幹彦 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任教授 (00198011)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 融合タンパク質 / 脱ユビキチン化酵素 / ユビキチン / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性骨髄性白血病細胞に発現しているBCR-ABLと同様に細胞内の脱ユビキチン化酵素によって細胞内で安定に存在できるがん特異的融合タンパク質を探索するために、各種がん細胞を非特異的脱ユビキチン化酵素阻害剤PR619で処理し、融合タンパク質の発現量をウェスタンブロットで解析した。その結果、非小細胞肺がん細胞株H2228ではPR619処理によってEML4-ALKタンパク質量が約34%にまで減少した。同様に肺腺がん細胞LC-2/adではCCDC-RETタンパク質が4%に減少し、軟骨肉腫細胞A673ではEWS-FLI1タンパク質が約50%に減少した。一方で膀胱がん細胞RT-4ではFGFR-TACC3の発現量はそれほど変化が見られなかった。これらの結果から、少なくともいくつかのがん特異的融合タンパク質は脱ユビキチン化酵素によってがん細胞内で安定に存在できることが示唆された。 膀胱がん細胞RT-4で発現しているFGFR-TACC3の分解を誘導するために、KHS108(TACC3リガンド)とLCL161(IAPリガンド)をリンカーで繋いだキメラ化合物SNIPER(TACC3)-11を新規に開発した。SNIPER(TACC3)-11はFGFR3及びTACC3タンパク質の量には影響を与えず、融合タンパク質FGFR-TACC3を選択的に減少させる活性を示した。またSNIPER(TACC3)-11は、FGFR-TACC3を発現するRT-4細胞に対して選択的な増殖阻害活性を示した。これらの結果からSNIPER(TACC3)-11はFGFR-TACC3を発現するがん細胞に対する選択的な治療薬となる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BCR-ABL以外にも脱ユビキチン化酵素によってがん細胞内で安定に発現するがん特異的融合タンパク質が存在することがわかった。またFGFR-TACC3を分解するSNIPER(TACC3)-11がRT-4細胞に対して選択的な増殖阻害活性を示したことから、がん特異的融合タンパク質の分解を誘導する化合物が新しい抗がん剤として有望であることを示した。以上のことから、研究は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
肺がん細胞に発現するEML4-ALK、CCDC-RET等のがん特異的融合タンパク質の安定な発現に関与する脱ユビキチン化酵素を同定し、その機能を明らかにする。また各種のがん特異的融合タンパク質を分解するSNIPERを開発し、がん特異的融合タンパク質の分解を誘導による新規医薬品リードの開発を目指す。
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Research Products
(20 results)