2021 Fiscal Year Annual Research Report
IDO-1阻害と放射線照射がもたらす抗腫瘍効果のマルチレイヤー解析
Project/Area Number |
21H02778
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野澤 宏彰 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80529173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 聡一郎 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00376443)
佐々木 和人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00781238)
川合 一茂 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80571942)
園田 洋史 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80770205)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大腸癌 / インドールアミン酸素添加酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
トリプトファンをキヌレニンに変換する酵素であり、樹状細胞とT細胞の相互応答に関わる免疫調節因子インドールアミン酸素添加酵素 (IDO1) は、細胞障害性 T 細胞の活性化が抑制され制御性T細胞が誘導されることで免疫抑制性に働く。また腫瘍細胞におけるIDO1は増殖を促進する。放射線照射も腫瘍増殖を抑制する有効な治療法であるが、照射後に誘導されるキヌレニンがβカテニン経路の活性化をもたらし癌細胞の放射線抵抗性に関与するという報告がある。IDO1を阻害することで放射線療法の効果が高まり、腫瘍免疫の活性化を介して協調的に腫瘍を抑制できると仮説を立て、ヒトおよびマウスの大腸癌細胞株(HT-29, Hct116, Colon26)を用いてIDO1阻害および放射線照射の効果をin vitroおよびin vivoの実験で検証した。IDO1に対するsiRNAおよびIDO1阻害剤である1-メチルトリプトファン(1-MT) が癌細胞株の増殖を抑制し、キヌレニン投与によりその効果が解除された。放射線照射 (2-6 Gy)は大腸癌細胞株のcolony形成能を抑制したが、1-MT投与はその効果を増強した。P53野生型であるHct116, Colon26では放射線照射と1-MT投与によってG2/M期停止が顕著となった。Balb/cマウス皮下に移植したColon26由来の腫瘍 は2週間の1-MT(6 mg/mL)経口投与、放射線照射 (10 Gy/10 fr)それぞれで増殖が抑制され、両者では腫瘍サイズが治療前レベルよりも縮小した。組織学的にはCD3陽性、CD8陽性細胞数の増加とFoxp3陽性細胞の減少、BrdU陽性腫瘍細胞の減少を伴っていた。放射線照射による白血球減少以外の有害事象は認められず、1-MTに起因する有害事象はなかった。主要臓器の組織学的な検索によっても上記の治療による変化はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に経過し、すでに数回の学会発表済みかこの数カ月で予定している。またここまでの研究成果を学術論文として投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸癌のpreclinicalなモデルで示されたIDO1阻害および放射線照射の共療法の有効性を、今後浸潤や転移の観点からも検討し、さらにメタボローム解析によって放射線照射の新規のtargetの同定を試みる。 上記のtargetの発現をヒト直腸癌における術前照射の症例と術前加療のない症例の比較して、臨床的に妥当な治療標的であるかを検討する。
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Research Products
(1 results)