2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H02782
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小林 栄治 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (70459733)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、次世代シーケンス(NGS)の開発により腫瘍浸潤リンパ球(TIL)のTCRレパトアの解析やsingle cell RNA seqによる単一細胞レベルでの解析など技術の発展により腫瘍抗原特異的TILに関する知見が急速に進んでいる。そのような状況下、抗原未知の腫瘍特異的TILの抗原を目的に抗原同定法の開発が世界中で進められている。 近年、Stanford UniversityのMark Davisらのグループは酵母ファージディスプレイとNGSを組み合わせた方法を開発し、がん患者のTILより取得したTCRの抗原同定を行った。しかしながら、この方法では可溶性peptide/MHCテトラマーを大量に作製する必要があり、またHLAの種類によってはpeptide/MHCが作製できないなど技術的な制限が強い。本研究では、マイクロアレイチップを用いることで偶然発見した我々独自の新知見「T細胞Cis-activation」を応用した革新的なTCR抗原同定法の開発を行う。本研究提案により腫瘍浸潤TILのTCRの抗原同定が短期間に可能になり、TCR遺伝子治療に寄与する高機能TCRの効果や副作用の予測が容易になると考えられる。また、TILの抗原同定により抗原ペプチドを用いたがんペプチドワクチン療法への応用も期待される。 本年度はHLA-A02拘束性NY-ESO-1特異的TCRやHLA-A24拘束性BRLF-1特異的TCRをモデルに、高反応性の細胞株の樹立を行った。さらに反応を評価するためのマーカーの検討を行った。高反応性の細胞株の樹立および評価マーカの選択は、効率よく抗原を同定する上で極めて重要になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究提案では抗原を同定するために、ペプチドライブラリーまたはcDNAライブラリーを用いるか検証する必要がある。抗原を同定する際に、ペプチドライブラリーを用いた場合抗原の発現量は多くなるが一方で非特異的な抗原も多く同定されると予想される。一方、cDNAライブラリーを用いた場合は真の抗原を同定することは容易になると予想されるが、発現量が少ないため抗原同定は困難になると予想される。どちらの方法も一長一短があり、用いるレポーター細胞の感度にも依存すると考えられる。この比較を行う上で高反応性の細胞株の樹立および効果的な評価方法は非常に重要である。本年度の成果により高反応性の細胞株および評価方法を検討できたため、概ね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はHLA-A02拘束性NY-ESO-1特異的TCRやHLA-A24拘束性BRLF-1特異的TCRをモデルに、ペプチドライブラリーおよびcDNAライブラリーを用いた場合の反応性の違いを検証する。抗原を同定する際に、ペプチドライブラリーを用いた場合抗原の発現量は多くなるが一方で非特異的な抗原も多く同定されると予想される。一方、cDNAライブラリーを用いた場合は真の抗原を同定することは容易になると予想されるが、発現量が少ないため抗原同定は困難になると予想される。どちらの方法も一長一短があり、用いるレポーター細胞の感度にも依存すると考えられる。従って、本年度は樹立した高反応性の細胞株と評価方法と使用し、モデル抗原を用いてペプチドライブラリーとcDNAライブラリーの比較を行う。
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Research Products
(11 results)