2021 Fiscal Year Annual Research Report
がん幹細胞結合ペプチドと高エネルギーα線核種を融合した核医学治療の開発
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21H02794
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
吉本 光喜 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 主任研究員 (00345638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 俊一 大阪医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (30278593)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ペプチド / CD44 / 核医学治療 / 225Ac |
Outline of Annual Research Achievements |
ドラッグデリバリーシステムと放射線照射を融合した核医学治療は、新しい放射線治療である。本研究課題では、がん幹細胞に加えがん細胞にも発現しているCD44に着目し、がん幹細胞を含めた統合的がん治療を目的にした新規アルファ線核医学治療の開発を目指す。本年度は、金属放射性核種での標識を可能とするDOTA-CD44結合ペプチドを合成するとともに、その体内分布について検討を行った。 新規CD44結合ペプチドの合成は Fmoc-固相合成法で行った。本年度は、結合親和性を損なわせないために、CD44結合ペプチドのN-末端にGlyを介してキレート剤DOTAを結合させた。固相合成の樹脂としてCLEAR-Amide Resinを用い、アミノ酸 (Fmoc-AA-OH) のカップリングには1-hydroxybenzotriazole (HOBT), N,N’-diisopropylcarbodiimide (DIPCI) を用いた。またDOTAのカップリングに関しては、 tri-t-butyl 1,4,7,10-tetraazacyclododecane-1,4,7,10-tetraacetate/HOBT/DIPCI で行った。 N-末端まで縮合後、樹脂からの切り出し及びアミノ酸側鎖の脱保護をトリフルオロ酢酸を主成分とする試薬で行い、HPLCで精製後、MALDI-TOF-MS で分子量を確認することにより目的のペプチドが合成されていることを確認した。得られたペプチドを111Inで標識し、マウスにおける体内分布を調べた。その結果、投与後早期から肝臓と脾臓への顕著な集積が確認された。111Inと類似の集積プロファイルを示したため、標識後の安定性を確認するとともに、再度動物実験での確認を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の予定では、インビトロによる結合親和性評価を計画していたが、既報のCD44親和性ペプチドにキレート剤を結合させたペプチドを用いた評価を行うため、本評価を省略することにした。CD44発現解析は現在進行中である。結合親和性評価をスキップした代わりに、R4年度計画であった体内動態評価を着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
R3年度に合成したペプチドの体内動態評価を着実に進めることにより、放射性医薬品としての評価をおこなう。有用な結果が示されれば、核医学治療としての評価に進むが、薬物動態に問題があれば、薬剤設計にフィードバックする。
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