2021 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類における経路選択的回路操作の技術開発と疾病モデルへの応用
Project/Area Number |
21H02798
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 玲欧奈 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (50812640)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / サル / 機能回復 / ウイルスベクター / DREADD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脊髄損傷からの回復過程において、損傷反対側の運動前野から損傷同側の運動前野への経路が機能回復に及ぼす影響を調べる。個体差も検討するために2頭のサルを用いる。今年度は2頭のサルのトレーニングを行った。サルをモンキーチェアに座らせて、精密把持課題 を行えるように訓練した。課題を十分にこなせるようになったら、1頭のサルに対して左右の運動前野に異なるウイルスベクター注入実験と、 両側の運動関連領域にECoGの慢性留置を行い、半球間経路を一方向性に遮断できるようにした。DREADDアゴニストであるDCZ(Deschloroclozap ine)を投与し、Granger因果性を用いて半球間の結合性を調べた結果、一方向性に結合性が低下することが明らかになった。その後、脊髄損傷 を作成し、損傷から4ヶ月に亘って精密把持課題によるリハビリテーションを行い、手指の巧緻性の回復経過と脳活動を記録した。精密把持課題ができ始める回復早期にDCZを投与すると、精密把持の成功率が一時的に低下した。一方、回復後期になるとDCZを投与しても成功率や精密把持運動に影響は見られなかった。組織学的実験を行ったところ、損傷反対側の運動前野では細胞体や軸索など多く観察され、損傷健常側では細胞体はなく、軸索のみが観察された。これは、半球間経路を一方向性に選択できたことを示す。以上の結果から、1頭のサルで半球間経路が機能回復の早期に大きく貢献することを直接的に明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、1頭のサルを用いて左右の運動前野間を一方向性に遮断することに成功した。さらに、この半球間経路が脊髄損傷からの機能回路の早期に大きく貢献することを直接的に明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は個体差を検討するため、別なサルを用いて同様の実験を行う予定である。解析においては、皮質脳波電極から得られた2頭分のデータを基に、回路操作中の各脳領域の活動及び脳領域間の因果関係を明らかにする。
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[Journal Article] Micro-LED Array-Based Photo-Stimulation Devices for Optogenetics in Rat and Macaque Monkey Brains2021
Author(s)
Yasumi Ohta, Mark Christian Guinto, Takashi Tokuda, Mamiko Kawahara, Makito Haruta, Hironari Takehara, Hiroyuki Tashiro, Kiyotaka Sasagawa, Hirotaka Onoe, Reona Yamaguchi, Yoshinori Koshimizu, Kaoru Isa, Tadashi Isa, Kenta Kobayashi, Yasemin M Akay, Metin Akay, Jun Ohta
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Journal Title
IEEE Access
Volume: 9
Pages: 127937~127949
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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