2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H02804
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱口 航介 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50415270)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 予測 / 強化学習 / 高次運動野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,報酬条件が逆転する事を予期するマウスを用いて、予測に基づく価値を表現する神経細胞の同定を目指している。また、予測に関わる脳領域の神経活動を抑制した際、予測的な行動が抑制されるかどうか調べる事で、予測的価値を行動に変換する神経機構を明らかにすることを目指した。 初年度では予測的な行動を行う頭部拘束マウスを多数供給できる体制を確立した.マウスの予測的行動に対し、強化学習モデルで説明を試みた所、従来の過去の履歴だけに依存するモデルでは、予測的な行動を説明できなかった。そこで予測の成分を含む強化学習モデル(hybrid Q-learning)を新たに作成したところ、従来のモデルよりも高い精度で行動が説明でき、その背後にある価値のダイナミクスが推定できた。 そこで次年度では、予測的行動を行うマウスの前頭皮質神経細胞よりカルシウムイメージングを行い、予測された価値のダイナミクスが現れるか検証した。その結果、予測に基づいた価値計算を行うことを示唆する神経活動が2次運動野の一部、Anterior Lateral Motor (ALM)領域で観測された.また光遺伝学をもちいて課題遂行中にALMを抑制したところ,予測ができずに初心者のように行動する様子が観察された。これらの結果は Hamaguchi et al., PNAS 2022として掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
光遺伝学を用いて、脳表の多点をレーザーで刺激する装置の組み上げと、刺激場所やタイミング指定のソフトウェア開発がスムーズに進んだ。そのため、ALMの神経活動の抑制とその行動への影響を比較的に早く検証することができた。また論文投稿と受理が2022年度内に完了したため、計画以上の進展を見せたといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では主に皮質5層の錐体細胞から2光子カルシウムイメージング法を用いて神経活動を記録した。現在、ALMの5層は視床との直接の再帰的結合から将来の運動に関わる短期的記憶を維持するとされているが、ALMの2/3層では刺激や知覚情報の短期記憶が保持されるという情報がある。これらの可能性を検証すべく、浅層からの記録を取得し、意思決定の神経回路メカニズム全貌を明らかにすることを目指す。
|
Research Products
(2 results)