2021 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of gut microbiota associated with ectopic neurogenesis and development of a strategy for the treatment of neurological disorders
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21H02808
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 泰斗 九州大学, 医学研究院, 助教 (10756993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅山 大地 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (30706370)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニューロン新生 / 腸内細菌 / てんかん / けいれん感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトを含む哺乳類成体脳の海馬歯状回顆粒細胞下帯に存在する神経幹細胞は、生涯を通して新たなニューロンを産生している。新生ニューロンの一部が歯状回の門部へ異所性に配置された場合は、てんかん原生となることが、研究代表者と他のグループの研究によりわかってきた。また、研究代表者はこれまでに、成体海馬の異所性ニューロン新生が、腸内細菌叢の変容によって誘発されることを示唆する結果を得ている(未発表)。そこで本研究では、研究代表者独自の、けいれん感受性亢進モデルマウスを用いて、腸内細菌による異所性ニューロン新生誘発の分子基盤解明とてんかん治療法創出を目指す。 成体海馬における異所性ニューロン新生と有意に相関する腸内細菌特定を特定するため、胎仔期VPA暴露マウスとコントロールマウスを12週齢まで飼育し、これらマウスの腸内細菌叢の16S rRNA遺伝子解析を実施した。次世代シーケンサーから得られた16S rRNA遺伝子データを常在菌リファレンスゲノムデータベースにマッピングし、OTU (operational taxonomic unit) レベルでの菌種組成を定量的に求め、マウス間の比較解析 (UniFracやrandom forest等の統計処理並びに各OTUの単純組成比較解析) を行うことで、各群のマウス腸内細菌叢の菌種組成の違いに最も寄与するOTUsを特定した。これにより、成体海馬における異所性ニューロン新生と有意に相関する腸内細菌を複数同定することに成功した。 さらに、得られた候補となる菌を、無菌マウスに経口移植し、異所性ニューロン新生が観察されるのかどうかをDCXに対する抗体を用いた免疫染色により調べた。その結果、異所性ニューロン新生を誘発する菌Xを同定することに成功した。また、無菌マウスに菌Xを投与した場合、けいれん感受性が亢進する傾向があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、成体海馬における異所性ニューロン新生と有意に相関する腸内細菌を選定し、候補因子を無菌マウスへ投与することで、計画通り、異所性ニューロン新生を誘発する菌Xを同定することに成功した。そのため、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定責任菌を無菌マウスへ移植後、CD133など細胞表面抗原に対する抗体を用いてFACSにより神経幹細胞を単離、培養することなく、そのままRNA-seqを実施し、責任腸内菌が神経幹細胞の遺伝子発現に与える影響を明らかにする。また、腸管、血液、責任細菌のメタボローム解析を実施することで、責任細菌が産生する因子が、神経幹細胞に影響を与えるかどうかを検討する。候補因子は、培養マウス神経幹細胞に添加し、神経幹細胞の機能を免疫染色や定量的RT-PCRにより測定することで絞り込む。さらに、同定した菌Xに対応する単独抗菌薬や、責任代謝産物合成酵素に対する阻害剤を、VPA暴露マウスに投与することで、異所性ニューロン新生が抑制され、けいれん感受性亢進が軽減されるかどうかを検討する。
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Research Products
(3 results)