2022 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンリモデリング異常による発達障害の包括的理解と治療応用
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21H02847
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西山 正章 金沢大学, 医学系, 教授 (50423562)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クロマチンリモデリング / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症を含む発達障害の患者の多くは社会生活に支障をきたしており、社会的にも大きな問題となっているため、その発症メカニズムの解明と治療法の開発が強く求められている。近年、クロマチンリモデリング因子CHD8が最も有力な自閉症原因候補遺伝子として同定され、世界中で大きな反響を呼んでいる。一方で、このCHD8の遺伝子座を含む領域の重複が発達障害の患者から相次いで発見されている。そこで本研究では、CHD8遺伝子重複による発達障害モデルマウスの確立と発症メカニズムの分子基盤の解明を目指す。われわれはまずROSA26プロモーター下にCHD8遺伝子をノックインしたマウスを作製した。CHD8遺伝子を1アレルから過剰発現させたマウスは、少し体が小さいものの正常に生まれ、CHD8が正常の1.5倍量(重複相当)発現していた。一方で、CHD8遺伝子を2アレルから過剰発現させたマウスは出生後に死亡することが判明した。新規に作製したこの遺伝子重複マウスを用いて網羅的な行動バッテリーを行ったところ、このマウスはいくつかの行動試験において顕著な行動異常を示すことが明らかになった。またこのマウスの胎生期の脳を用いて網羅的な遺伝子発現解析を行った。その結果、神経分化の制御に関わる転写因子の発現が変化しており、神経発生遅延が起こることが明らかになった。さらにChIP-seq解析では、CHD8は発現が変化していた遺伝子のプロモーター領域に強く結合しており、ATAC-seq解析では、CHD8過剰発現により神経の機能に関わる遺伝子領域のクロマチンアクセシビリティに変化がみられた。これらの結果から、CHD8過剰発現によるクロマチン構造異常が神経発生に影響を与える可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CHD8は神経分化の制御に関わる転写因子のプロモーター領域に強く結合しており、CHD8過剰発現により神経の機能に関わる遺伝子領域のクロマチン構造異常がみられた。これらの知見は当初の研究目的に適っており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
われわれが作製したCHD8遺伝子重複による発達障害モデルマウスを用いて、CHD8の発現量の変化が神経発生や神経細胞の機能に与える影響についての検討を行う。またCHD8がどのように神経発生を制御しているのか、その分子メカニズムについての解析を進める。
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Research Products
(5 results)