2022 Fiscal Year Annual Research Report
双極性障害大規模シーケンス解析による稀な生殖細胞系列変異と体細胞変異の包括的研究
Project/Area Number |
21H02855
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高田 篤 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (90643693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣内 千尋 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90342766)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 双極性障害 / 次世代シーケンサー / エクソーム / 体細胞変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、昨年度までに取得したエクソームシーケンスデータの解析を行い、クオリティコントロール、シーケンスマッピング、変異コール、変異タイプ等の基本的なアノテーションの付与などを実施した。引き続いて、コントロールデータとの統計比較、種々のアノテーション(一般集団での頻度、ミスセンス変異の有害度、エピゲノム・転写因子結合情報等)を進めるためのデータ処理を行っている。また、体細胞変異の解析を優先する形で研究を進め、その成果を共同研究として論文としてまとめた。並行して、他の精神神経疾患のゲノムデータ解析を実施し、疾患間比較の基盤を構築した。また、ゲノム解析で同定される疾患関連遺伝子・変異の機能解析を行うための細胞実験系を整備し、CRISPR/Cas9で変異を導入した細胞のRNA-seq解析等を実施した。 関連するプロジェクトとして、機械学習手法を用いて神経発達障害原因遺伝子を大規模に同定した研究(Hamanaka et al., Genome Medicine 2022)、ゲノムワイド関連解析の成果に基づいて作製された双極性障害モデルマウスを多角的に解析した研究(Yamamoto et al., Molecular Psychiatry 2023)等の成果を報告した他、統合失調症の分子病理研究に関する最新の知見をまとめるとともに今後の研究の方向性について論じた総説(Nakamura and Takata, Molecular Psychiatry 2023)等を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおよそ当初の想定通り、データ取得、クオリティコントロール、解析等が進んでいる。特に、体細胞変異の解析は想定以上の進捗をみせている。また、下流のデータ解析、実験的機能解析のための系も構築が進んでおり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
取得したデータの解析を進め、ケースコントロール比較等を実施し、統計的に強固な水準で双極性障害と関連する遺伝子・変異・変異タイプ等の同定を目指す。また、その結果をもとに、病態と関連する生物学的経路や細胞種についてのバイオインフォマティクス解析を実施する。他の精神神経疾患との比較検討を並行して実施する。大きな効果量をもって疾患と関連する遺伝子・変異の有力候補が同定された場合には、それらの機能的意義を細胞実験系等を用いて検証する。あわせて、変異保有者の詳細な臨床表現型の情報収集を、適切な倫理的配慮を行った上で実施する。得られた成果をもとに論文の執筆を行い、公表することもあわせて目標とする。
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