2021 Fiscal Year Annual Research Report
オレキシン系の機能解明に資するPETプローブの開発とその応用
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21H02869
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 裕之 京都大学, 薬学研究科, 講師 (40710786)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オレキシン / PET / イメージング / グレリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,オレキシン受容体(OXR)やグレリン受容体を標的としたPETプローブを新たに開発し,生体イメージング実験を行うことでオレキシン系の機能解明を目指すことにある.オレキシン系は睡眠障害や精神疾患,薬物依存,さらには食欲や意欲などの報酬系に関与しているとされるが,その全貌は未だ明らかとなっていない.そのため,生体内におけるオレキシン系の可視化は,精神疾患や睡眠障害などの病態解明や治療薬開発,さらには,精神構造の解明の一端を担うことにつながると考えられる.本年度は,オレキシン1受容体(OX1R)およびオレキシン2受容体(OX2R)イメージングプローブの開発研究を実施した. 1) OX1R受容体イメージングプローブ ベンゾフラン誘導体を母核とした新規PETプローブの開発を実施した.その結果,in vitro細胞結合実験においてOX1R発現細胞に対して結合性を示し,かつ正常マウスを用いた体内放射能分布実験において脳移行性を示す1化合物を見出した。 2) OX2R受容体イメージングプローブ OX2Rアンタゴニストの母核であるトリアゾール-ピロリジン(TP)構造を基本骨格とした新規放射性プローブ(TPI)を設計・合成し,その有用性を評価した.TPIはOX2R発現細胞に対して高い結合性を示した.さらに,TPI は正常ラット脳切片上を用いたin vitroオートラジオグラフィーにおいて,OX2R発現部位に集積し,その集積はOXRアンタゴニストの過剰添加によって顕著に低下した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オレキシン受容体イメージングプローブについては,化合物設計,親和性評価を行い、一部の化合物については、次年度の実施を予定していた正常マウスを用いた体内放射能分実験を前倒して実施することができた。一方で、グレリン受容体イメージングプローブについては化合物設計は完了したが,その評価までは至らなかったため,総合的に判断して、おおむね順調と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
オレキシン受容体イメージングプローブについては,マウスを用いた検討を進めるとともに,新たな化合物の設計・合成および評価を実施する.またグレリン受容体イメージングプローブについては,合成・評価,マウスを用いた検討を実施する.
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Research Products
(2 results)