2022 Fiscal Year Annual Research Report
Lab-on-a-Chip for radio isotope purification and probe synthesis
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21H02870
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大平 慎一 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (60547826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須郷 由美 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員 (90354836)
森 勝伸 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (70400786)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射性同位体金属 / 分離・精製 / 3Dプリンタデバイス / 紫外線分解 / PET診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に実証した最適条件における錯形成を利用した選択的極性変換に基づく分離と紫外線除去プロセスを一体化したプレート型デバイスを3Dプリンタで試作し,コールド試験において最適な条件を検討した。ホット試験での安全性も考慮し,試料導入後は,ボタン一つで分離が完了する自動システムを構築した。また,紫外線照射による分離剤の分解除去については,新たに機密性と照射効率を向上したセルをデザインし,より短時間で分解除去可能な条件を見いだした。さらに,光触媒による分解効率や副生成物についての評価も実施した。紫外線照射部も一体化したフローデバイスの開発に成功し,Ga/Znについて,放射性同位体を用いたホット試験において,良好な回収率を得た。さらに,同じ分離機構およびフローデバイスで,Zr/Yの系についても分離できることを実証した。これにより,本法がサイクロトロンで作成可能な様々な放射性同位体核種について適用可能なユニバーサルな分離法であることを示した。Zr/Yの系では精製して得られた放射性Zrについて,抗体への標識化も実施した。標識化効率の定量的な評価は今度の課題であるが,本法により精製したZrを抗体と結合した配位子に取り込ませ,実際にPET診断用薬剤を合成できたことを定性的に評価できた。本年度は,放射性同位体金属イオンの分離に関する論文1報,3Dプリンタで作成したフローデバイスによる分離・精製に関する論文1報,その他学会発表を4件(うち1件は招待講演)により報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに,3Dプリンタデバイスによる分離・精製について,当初目指していたGa/ZnとZr/Yのいずれについても有用であることを,放射性同位体金属を用いたホット試験で実証できた。さらに,Zrについては,抗体との結合による薬剤合成試験も実施し,定性的ではあるものの本法による分離・精製法が短い時間で高効率であることを実証できている。(当初計画では,合成試験は次年度となっていた。)
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,より実用的な条件に合わせて,ディスポーザブルな分離・生成システムの構築・評価とインライン合成・濃縮について検討を進めていく。ディスポーザブルな分離デバイスは,3Dプリンタデバイスであることから容易にコピーを作ることができるが,分離特性の観点から再現性を評価する。また,従来の想定より少しスケールアップすることで,現場での使用に向けたシステムの構築を進めていく。インライン合成・濃縮技術については,すでにCuについて論文で発表しているが,本研究では,GaおよびZrについても条件の検討と合成効率の評価を進めていく。
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