2021 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of neuroblastoma patient-derived PDX library covering all subtypes
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21H02880
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅田 雄嗣 京都大学, 医学研究科, 講師 (80397538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧本 哲也 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 研究所小児がん疫学臨床研究センター, 室長 (40393178)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / 異種移植モデル / 免疫不全マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、強力な集学的治療を施行しても依然として予後不良な難治性神経芽腫に対して、個々の患者の分子病態に立脚した新規治療薬の開発と実用的なin vivo薬剤スクリーンニングが実現可能な患者由来異種移植(PDX)モデルを作成することを目的とする。 全国の医療機関が参加する日本小児がん研究グループ(JCCG)を母体とした小児固形腫瘍観察研究の付随研究として、前向き観察研究「神経芽腫患者由来異種移植ライブラリーの構築」を2021年6月より開始した。研究開始から約9ヶ月が経過した時点で、研究参加を希望した52施設中34施設で施設承認が得られた。6施設から8症例の神経芽腫の新鮮腫瘍組織が提供され、得られた腫瘍組織は順次免疫不全マウスに移植してPDXマウスの樹立を進めている。また、今年度より開始する腫瘍の表現型解析及びサブグループの特定に向けて、残余腫瘍及び正常血液の保存を継続して実施している。 CD146は転移性メラノーマで発見された細胞接着分子で、神経芽腫を含む様々な悪性腫瘍で発現しており、治療標的候補として期待されている。神経芽腫患者由来PDXマウスを用いた実験では、抗ヒトCD146ポリクローナル抗体によりin vivoでも腫瘍形成が抑制され、in vivo薬剤スクリーニングシステムとしてのPDXマウスの有用性が示された。今後、いくつかのサブグループで有用性が報告されている分子標的薬を用いたin vivo薬剤感受性試験についても着手していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本小児がん研究グループ(JCCG)を母体として、難治神経芽腫症例の患者より収集した検体を免疫不全マウスに移植してPDXライブラリーを構築する多施設共同研究の症例登録を2021年6月より開始した。開始から約9ヶ月が経過した時点で、参加を希望した52の研究協力施設のうち34施設で倫理委員会の承認が得られ、6施設から8症例の神経芽腫の新鮮腫瘍組織が提供された。5年間の研究期間中に目標対象症例数約100例を目標としており、開始初年度の症例集積ペースとしては許容できると考えられる。得られた腫瘍組織は順次免疫不全マウスに移植してPDXマウスの樹立を進めている。また、今年度より開始する腫瘍の表現型解析及びサブグループの特定に向けて、残余腫瘍及び正常血液の保存を継続して実施している。 CD146は転移性メラノーマで発見された細胞接着分子で、神経芽腫を含む様々な悪性腫瘍で発現しており、治療標的候補として期待されている。神経芽腫細胞株を用いたin vitroの実験では、shRNAの導入によるCD146発現の抑制や抗ヒトCD146ポリクローナル抗体投与によりFAKやNFκBを介したアポトーシス亢進をきたし、腫瘍増殖が抑制されることが確認されている。神経芽腫患者由来PDXマウスを用いた実験では、抗ヒトCD146ポリクローナル抗体によりin vivoでも腫瘍形成が抑制され、in vivo薬剤スクリーニングシステムとしてのPDXマウスの有用性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も「神経芽腫患者由来異種移植ライブラリーの構築」の症例登録を継続して全国の医療機関から神経芽腫の新鮮腫瘍組織をさらに収集して免疫不全マウスに移植し、PDXライブラリーを構築していく。 また、摘出された腫瘍と抽出したゲノムDNA・メッセンジャーRNA及びPDXマウス内で複数回生着が確認された腫瘍の一部を主たる研究機関に集約し、病理検査(HE染色、免疫染色、FISH法など)、マイクロアレイまたは次世代シークエンサーを用いた遺伝子検査(ゲノムコピー数解析、全エクソンシーケンス、全ゲノムシーケンスなど)を行う。これらの検査データにより、元の腫瘍の病理学的及び遺伝学的特徴が維持されているかを確認するとともに、小児固形腫瘍データセンターからPDXライブラリー管理部門に提供された臨床情報と照合して解析し、サブグループを特定する。 さらに、複数回の生着が確認できたPDXマウスについてはメタボローム解析などを用いた新規治療標的の探索、いくつかのサブグループで有用性が報告されている分子標的薬(ALK阻害剤、PARP阻害薬など)を用いたin vivo薬剤感受性試験についても着手していく。
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[Journal Article] CD146 is a potential immunotarget for neuroblastoma.2021
Author(s)
Obu S, Umeda K, Ueno H, Sonoda M, Tasaka K, Ogata H, Kouzuki K, Nodomi S, Saida S, Kato I, Hiramatsu H, Okamoto T, Ogawa E, Okajima H, Morita K, Kamikubo Y, Kawaguchi K, Watanabe K, Iwafuchi H, Yagyu S, Iehara T, Hosoi H, Nakahata T, Adachi S, Uemoto S, Heike T, Takita J.
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Journal Title
Cancer Science
Volume: 112
Pages: 4617-4626
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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