2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胎芽期・胎児期・新生児期の環境因子によるエピゲノム変異とその経時的変化の同定
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21H02887
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
秦 健一郎 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60360335)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エピゲノム / 生殖補助医療 / DOHaD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生殖補助医療や妊娠合併症などの環境因子による児のエピゲノム変異を同定し、その経時的変化を追跡し、潜在的な遺伝子機能異常や将来の疾患素因の有無を検証することである。既報の解析戦略では、個人差の大きいヒトエピゲノムの真の異常値を同定するのは困難であり、仮に同定できてもART出生児などは適切な対照群がほぼ存在しないために明確な結論には至らなかった。最近、様々な腫瘍に対し、エピゲノム変異の多様なパターンを統計的に解析し、発症後の経時変化やclonalityを推定する試みが報告された。同様の解析戦略は、環境ストレスで生じたエピゲノム変異にも有効と考えられる。我々は先行研究で、疾患と無関係な領域の解析やエピゲノムの「乱れ具合」に着目した解析の意義を提唱してきたが、それらを発展させ、より解像度を上げた解析を進めている。これまでのところ、有意なDNAメチル化変化が検出されるものの、その変化はごく軽微であり、いずれも遺伝子発現への影響は限定的と推定される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の手法では、例えばDNAメチル化がコントロールの20%に低下している異常を検出しても、DNAメチル化状態が個々の細胞やアレル間で区別されていないため、細胞集団での平均値を意味している。本研究では、次世代シークエンサーを用いた高頻度重複配列解析を行うことで、DNAメチル化異常状態が、均一なのか、細胞ごとに異なるのか、あるいは当該ゲノム内でもアレル間で異なる異常を呈しているのか、等々、これまで検証されていなかった様々な異常パターンを明らかにできる。その結果、たとえば細胞間あるいはアレル間でほぼ同一・均一な異常であれば、比較的発生初期に起こったと推定することができる。解析対象領域とその条件検討は、独自の先行研究で終了しており、14の染色体上に散在する、合計50領域、のべ606個のシトシンのメチル化状態である。次世代シークエンサーを用い、50領域それぞれ平均8,000回シークエンスデータを比較的安価(3,000円/検体)に収集した。各症例のあらゆるエピゲノム変異パターンが系統的網羅的に捕捉できていると予想され、同一サンプルに含まれる多様なエピゲノム異常パターンとその比率を、シーケンスデータから検出し定量的に算出した。インフォマティックツールとしてMethclone等を利用し、そのclonalityの派生状況を考慮して前述のように発症メカニズムを推定した。その結果、複数のインプリンティング領域に軽微なDNAメチル化値の変化を認めた。いずれもβ値換算で0.1以下の軽微な変化であり、遺伝子発現への影響は少ないと考えられた。これまでのところ、その外にも有意なDNAメチル化変化が検出されるものの、その変化はごく軽微であり、いずれも遺伝子発現への影響は限定的と推定される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の解析に引き続き、RRBS法も並行して行い、より網羅的なDNAメチル化情報を取得する。発生初期に環境ストレスに暴露された可能性がある生殖補助医療群とコントロール群90例(ICSI群30例、IVF群30例、自然妊娠群30例)を対象に、詳細なDNAメチル化プロファイルの比較を行う。
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